希望の道 二話
冷たい雨が俺の頬を打つ。
ついさっき感じた恐怖は、今も俺の心の中に残っている。
記憶を失う前の俺と、今の俺は別人だ。
俺が記憶を取り戻したら、そのとき俺は死んで記憶を無くす前の『俺』が出てくるのか? 俺はどうなるんだ。
耳に、濡れた路上を歩く音が聞こえた。
その音を出していたのは俺が愛する、彼女。
「はぁ、……探したんだよ? 早く戻ろうよ」
探したのは、俺じゃないでしょ。
記憶を無くす前の「木史葉 裕也」だろ。
「もう給食の時間だしさっ。早く――」
俺は、彼女の手を知らずのうちに振り払っていた。
「…………」
彼女は、振り払われた手を見て――愕然としていた。
俺は、この苦しみから逃れる方法を見つけたような気がした。
それは、死ねばいい。 彼女と。
彼女を、『俺』なんかに渡したくない。
はは、はははははははは――――
心の中で狂ったように笑う俺が居た。
その姿は自分でわかるほど、醜い。
こんな考えが思い浮かぶ自分が、哀しくなった。
雨とは違うものが、俺の頬から、彼女の頬から、溢れてる。
ついさっき感じた恐怖は、今も俺の心の中に残っている。
記憶を失う前の俺と、今の俺は別人だ。
俺が記憶を取り戻したら、そのとき俺は死んで記憶を無くす前の『俺』が出てくるのか? 俺はどうなるんだ。
耳に、濡れた路上を歩く音が聞こえた。
その音を出していたのは俺が愛する、彼女。
「はぁ、……探したんだよ? 早く戻ろうよ」
探したのは、俺じゃないでしょ。
記憶を無くす前の「木史葉 裕也」だろ。
「もう給食の時間だしさっ。早く――」
俺は、彼女の手を知らずのうちに振り払っていた。
「…………」
彼女は、振り払われた手を見て――愕然としていた。
俺は、この苦しみから逃れる方法を見つけたような気がした。
それは、死ねばいい。 彼女と。
彼女を、『俺』なんかに渡したくない。
はは、はははははははは――――
心の中で狂ったように笑う俺が居た。
その姿は自分でわかるほど、醜い。
こんな考えが思い浮かぶ自分が、哀しくなった。
雨とは違うものが、俺の頬から、彼女の頬から、溢れてる。
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