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ループ?

[114]  2007-10-07投稿

「泣きたかったら泣いてもいいよ」

彼は私の肩に手を乗せて、自分のほうへと引き寄せる。
ああ、君は優しい。
でもね、駄目だよ。

「大丈夫」

私は彼の手を振り払って、ピースした。
そんな心配そうな顔をしないでよ。

「本当に大丈夫だから」

今できる最高の笑顔で言った。
そして私は、彼がなにかを言いだす前に「じゃあ、また明日学校でね」と言い残して、走り去った。
きっと優しいあなたの事だから、まだ心配そうな顔をしているでしょう。
ごめんね。
涙を拭いながら走る私の隣をゴスロリの子が通った。その子も泣いていた気がした。
メールの着信音が鳴る。
無視して走った。
途中、小さな段差につまづいて転けた。

「…あは。……はは」

ハイヒールで全力疾走するのは無理があったかな。
ひねった足をさすりながら思った。

「大丈夫ですか?」

50歳くらいの男の人が声をかけてきた。
しっかりとスーツを着こなし、紳士といった感じだった。

「…あっはい。すいません」

なるべく泣いた顔を見られないように、俯いて返事をした。

「そうですか?でわ、これだけどうぞ」

そう言うと、私の右手にハンカチを握らせた。
強制的ではなかった。
ハンカチをくれると、男の人は歩いていった。
ハンカチは高級そうだったが、使いこまれた感じがした。
みっともなくハンカチを握りしめたまま泣いた。

今日ぐらいは泣いてもいいでしょう。
明日からは笑っているから。
君の隣に彼女がいても。

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