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銀河大戦記?

[441]  鈴里ユウ  2007-10-09投稿
結局、連邦軍アレンビー少将が統合作戦本部に着いたのは夕方になってからのことである。
最高幕僚会議議長ドゥボス元帥は、そのことを別に咎めずに、一通の書類を彼に差し出した。
アレンビーはそれを見て、露骨に顔をしかめた。
「…中将に昇進ですか?別に最近功績はたててませんが」
ドゥボスは、彼が喜ばないのを見て、やや不満気な顔をした。
「嫌かね?」
「そういう訳ではありませんか…。何か理由があるのでは?」
元帥はフッと笑った。「相変わらず察しがいいな。これはまだ、一部の者しか知らんが…」
「何ですか」
「そう急ぐな。実は、近々出兵するかも知れないのだよ」
アレンビー少将の眉がピクリと動き、その碧眼に驚きの色を浮べた。
「それは…、無理があるのでは?」
「確かに我が軍は、アルテミシオンの戦いからの損失からまだ立ち直りきってはおらんが…」
「その通りです。この六年、大きな会戦が無かったのは、王国の内部の混乱があったからに過ぎません。まだまだ、急いで戦端を開く事もないのでは、ありませんか」
「…もし」
ドゥボスはアレンビーをキッと見据えて言った。
「アカイア公国との連合が成立すれば、状況は変わるだろう?」
「なっ…」
アレンビーは絶句した。
「何か根拠がお有りなのですか」
ドゥボスは頷いた。
「知っての通り、公国と王国は、国境問題が常に起こっている。特に惑星ハーデンの権益にはな。王国の国営の工業公社からも、後押しが有るだろうしな」
「かと言って、すぐには…」
「近々だ」
ドゥボスはアレンビーの言葉を遮るように言った。
(何か謀略を仕掛けたか)
アレンビーは口には出さず、敬礼して退室しようとした。
「…非番の所、悪かったな」
背後の声に、アレンビーは向き直って応えた。
「いずれ戦いが一段落したら、穴埋めの休暇をお願いします」
ドゥボスは軽く笑った。
「そうだな、一段落したらな…」

アレンビーは退室し、途中で立ち止まった。
(無理に戦わずとも、この六年、停戦する機会はあったはずだ…。公国と連合して、いつまで戦いを続ける気か…)
彼はため息をついて、また歩き出した…

翌日、正式に辞令が出て、アレンビーは中将に昇進し、第九艦隊の司令官に任命されたのである。

彼が艦隊人事に追われる中、一つの事件が起きる。

「惑星ハーデン占領事件」である…

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