DECEIT [突破] ?
車は右に左に動き回り、望は前を見つめてハンドルを素早く操る。
「各チームに通達する!! 敵と思われる車両、二台が我々を追跡中!! プランDに変更!! 繰り返す! プランDだ!!」
『……了解……直ちに援護を向かわせます……』
携帯電話から聞こえてくる声は緊張しているようで、固く聞こえる。
光が我に帰り、後ろを振り向くと二台、黒塗りのバンが物凄い速度で向かって来ているのが分かった。
「また、あいつら!?」
すると冷たい風が車内に流れ込んで来た。
その冷たさは空調機の風ではない。
ふと気がついて上を見上げると、オレンジ色の大きな雲が広がっていた。
「ちょっ……何してんのよ!!」
「悪いがお前さんの喚き声にいちいち答えている暇はない!!」
車は完全にオープンカーとなっていた。
横には後ろの車に向けてJがライフルを構えている。
「特製12ミリ口径でもくらいやがれ!!」
約一時間振りのJの口から漏れた言葉は、子供がシューティングゲームをしながら言いそうなフレーズ。
……ズダンッッ!!
何があったのかはその時は分からなかった。
後ろの二台の内の一台が、物凄いスリップ音をたてながら、右に回転を始めたのだ。
車の右の前輪はすでに形を維持してはいない。
バランスを崩した車は、一生懸命に道路に留まろうと必死だった。
一瞬の事だった。
横を通り過ぎた対向車である大型トラックと衝突し、ガードレールの外へと掃き出される。
「……ざまぁみやがれ!!」
光はまた泣き出しそうになっていた。
『何なの…… この日本人は……』
直ぐさま望が光の安否を伺う。
大丈夫だと望は見たが、光は外傷は無いものの”内傷”が激しかった。
「死んだらどうすんの!!」
「死なない程度にやってんだよ」
光の目の前を死が通り過ぎたが、そんな事を望は気にもしない。
「一段落ついたな」
望は尚も対向車線を乗り越えて行ったり来たりしならがら、安堵のため息を漏らした。
しかし、望遠鏡を覗いているJの次の一言で皆が凍り付いた。
「……もう一台は何処だ!?」
「各チームに通達する!! 敵と思われる車両、二台が我々を追跡中!! プランDに変更!! 繰り返す! プランDだ!!」
『……了解……直ちに援護を向かわせます……』
携帯電話から聞こえてくる声は緊張しているようで、固く聞こえる。
光が我に帰り、後ろを振り向くと二台、黒塗りのバンが物凄い速度で向かって来ているのが分かった。
「また、あいつら!?」
すると冷たい風が車内に流れ込んで来た。
その冷たさは空調機の風ではない。
ふと気がついて上を見上げると、オレンジ色の大きな雲が広がっていた。
「ちょっ……何してんのよ!!」
「悪いがお前さんの喚き声にいちいち答えている暇はない!!」
車は完全にオープンカーとなっていた。
横には後ろの車に向けてJがライフルを構えている。
「特製12ミリ口径でもくらいやがれ!!」
約一時間振りのJの口から漏れた言葉は、子供がシューティングゲームをしながら言いそうなフレーズ。
……ズダンッッ!!
何があったのかはその時は分からなかった。
後ろの二台の内の一台が、物凄いスリップ音をたてながら、右に回転を始めたのだ。
車の右の前輪はすでに形を維持してはいない。
バランスを崩した車は、一生懸命に道路に留まろうと必死だった。
一瞬の事だった。
横を通り過ぎた対向車である大型トラックと衝突し、ガードレールの外へと掃き出される。
「……ざまぁみやがれ!!」
光はまた泣き出しそうになっていた。
『何なの…… この日本人は……』
直ぐさま望が光の安否を伺う。
大丈夫だと望は見たが、光は外傷は無いものの”内傷”が激しかった。
「死んだらどうすんの!!」
「死なない程度にやってんだよ」
光の目の前を死が通り過ぎたが、そんな事を望は気にもしない。
「一段落ついたな」
望は尚も対向車線を乗り越えて行ったり来たりしならがら、安堵のため息を漏らした。
しかし、望遠鏡を覗いているJの次の一言で皆が凍り付いた。
「……もう一台は何処だ!?」
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