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銀河大戦記?

[391]  鈴里ユウ  2007-10-11投稿
…クラウス・フォン・フィルスマイヤー中将は、帝室貴族の出身で、早功績をたててきた。
中でも、参謀として参加した「アルテミシオン星域会戦」では、連邦軍の分断作戦を立案し、イオニア王国の完勝劇を演出した人物として名高い。
そんな彼は、この当時数少ない親国王派だったのだが、それにはある理由があった…

フィルスマイヤーがまだ中尉だった頃の話である。
彼はその当時、親衛隊として、王太子テウデベルト(現国王)の警備にあたっていた。
ある夜の事である。
まだ八才だった太子が、部屋を抜け出して騒ぎになったことがある。
それを見つけたのが彼だった。

「…殿下」
文書保管室に太子を見つけたフィルスマイヤーは、額の汗を拭って言った。
「皆が心配しております。早く部屋にお戻り下さい」
「…部屋の中にはいれ。少し話をしよう」
「しかし…」
「少しだけだ。いいだろう?」
彼はため息をついて中に入った。
「見覚えがあるな。名前はなんというのか」
「フィルスマイヤー中尉です、殿下」
「フィルスマイヤーか。貴族家の出か」
「はい。ご記憶でしたか」
「それぐらいは分かってないとな」
フィルスマイヤーは驚いた。普段は賢い様子など見せないのに、なかなかどうして。八才とは思えない記憶力だ。
「お前も重臣達に取り入って出世しようとする輩か」
「私はそんなことはしません」
彼は憮然として言った。
「何でだ?出世は望まぬか」
テウデベルトは不思議そうな顔をした。
「そんなことはしなくても昇進は出来ます。誰かに取り入るのは趣味ではありません」
フィルスマイヤーもまだ若かった。権力というものに、多少の反感があったのである。
「では約束してくれ」
テウデベルトは好奇の目をして言った。
「いつか私が国王になったら、力を貸してくれ」
フィルスマイヤーは目をパチクリさせ、やがて、くすりと笑って答えた。
「はい、殿下。私の忠誠は殿下に捧げましょう」
「約束だぞ」
「はい、殿下」

それから十年たち、テウデベルトは今は国王である。
しかしその実権は宰相達に握られ、傀儡と言われている。
だが、フィルスマイヤーは約束を覚えていた。
若い頃の記憶は、彼を一つの方向に駆り立てていた。

そして今回の戦いでも、不満があっても功績をたてねばならないと思っていた。
より、大きな力を握るために…

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