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漆黒の翼 16上

[437]  龍角  2007-10-11投稿
「ところで二人はなんでこの保育園に来たんだ?」


エルファが尋ねると二人はお互いに顔を見合わせて複雑な表情をしてしばらく沈黙した後、美姫は話し始めた。

「妹が…いるんです…」

「妹!?」

「はい…あの黒い…黒翼人の女の子です。
美華って言うんですけど家庭の事情で一緒に暮らす事が出来ないんです…
麗奈は、幸村気とブランティー家は家族ぐるみの付き合いでここに入れられる前からあの子をかわいがってくれてたんで…」
美姫の目の先には白翼人や人間の子供達と混じって元気良く遊ぶ黒翼人の女の子…美華の姿があった。


真治やここの保育士達の教育方針により、ここでは種族の違いによるイジメや偏見は無い。

しかし東日本はご存じの通り白翼・人間主義国家であり、黒翼人達の社会的地位は最下層に位置している。

古来から日本は白翼人、黒翼人、人間が共存して来た。


白翼人は『白蛇人』 黒翼人は『大黒人』(大黒とは大黒様のこと)と呼ばれてあくまで立場は対等だった。

しかし19世紀後半にヨーロッパで人間独立革命が発生し、ヨーロッパで白翼至上主義を称えていた者達は次々とヨーロッパから追放、又は自ら脱出した。

そして彼は中東、アジア、アメリカ、そしてこの日本にも押し寄せて来た。

当時の日本政府は欧米列強の植民地政策に対抗する為に急速に近代化する必要があった。そして政策はヨーロッパから来た彼等を重宝しそして保護したのだ。

そして政府の開国政策、白翼人達を重宝する政治体制、そして白翼人達の思想の流入により、古来から共存して来た三種族の間に亀裂が入り始めたのだ。



そして1907年。

日本を二分する内紛…東西戦争が勃発した。
しかし双方とも決着が付かずに1911年に停戦協定に同意してそれ以降日本は東経138°線から東西に分断されてしまったのだ。
そして黒翼・人間主義の西日本では残された白翼人達のテロが、東日本では黒翼人達のテロが発生して、憎しみはまさに鎖の様に繋がり、報復の連鎖は止どまる事を知らないのだった。


そして血で血を洗う争いは今も続いている。

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