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航宙機動部隊前史・14

[407]  まっかつ  2007-10-11投稿
やがて、段々と明らかになったのは、巨大な恒星間宇宙船を駈り、大規模な船団を組んで常時移動する航宙遊牧民族の優位であった。
彼等は引き続き商業・戦争で活躍し、その方面での技術開発にも余念が無かった。
そして、人類史上発の時空集約航法の実用化に成功したのも、彼等であった。
銀河元号二六九年・特殊実験船《ティムール》に装備された時空抽象場破砕・再構成システムは、理論通りに機能し、三三分間の時空防護膜《グリーンチューブ》内航行を経て、三七修正光分《六億六六00kM》の距離を踏破して、無事通常宇宙に帰還を果たした。
それは一回の航行につき、光速の僅か一割強分にしか過ぎない《ワープ》ではあったが、ささやかな出発点は、同時に航宙遊牧民族飛躍の原点にもなった。

元々何百年も前に確立されていた技術の筈だったが、この点、太陽系連邦等は開発で大きく遅れをとっていた。
かかるコスト・要する犠牲・実用性への疑問・政治的思惑等、原因は色々あったが、恐らくは伝統ゆえの複雑なしがらみと、価値基準の相違が最も大きかったと思われる。
実現すれば宇宙を変えかねない発明であり、事実、時空集約航法は宇宙文明を大きく変革し、進歩させた。
だが、否、だからこそ、旧来の利権・特権・癒着・統治のシステムを壊しかねない革新を望まない体質が形成されていた太陽系連邦官界・財界が、こう言った分野への資金・人員の配置を中々増やさず、冷遇して来た事は有名であった。
故に、本来ならばとっくに普及していた筈のワープ技術も超光速宇宙船も、今だ実験段階に止まり、航宙遊牧民族に先を越されたのである。
更に、太陽系連邦等の一般諸国に取って、宇宙船とは飽くまでも港や基地を必要とする乗物と位置付けられていた。
確かに、地球時代と較べれば、宇宙船での移動時間は大幅に延び、時としてそれは一世紀に及ぶ事もあった。
だが彼等に、恒星間宇宙船団自体が国であり故郷であると言う認識は無かったのだ。
これを逆手に取って、船団に全ての機能や設備を持たしてしまい、《動く国》にまで進化させたのが他でもない、航宙遊牧民族だったのだ。
時空集約航法はどんどん進歩し、五0年以内で三00隻の超光速宇宙船が建造され、一航法毎の平均跳躍距離標準十時間で四五修正光時・光速の四.五倍にまで到達した。

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