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母と娘の長い休日1

[373]  沙莉  2007-10-12投稿
−うつは人生の夏休み−


私は高橋真澄。16歳。
とある田舎で生まれ育った高校生。私達家族はごく一般の家族だ……

そう思っていた。

父は頑固親父の亭主関白。怒るともう誰も止めようがない。私はひどく恐れていたけど、嫌ってはいなかった。
母はどんな時でも子供の味方についてくれたから、妹も大好きだった。何にでも全力を尽くす人。
私は兄と妹を持つ三兄弟の長女。喧嘩をよくする比較的ひねくれた性格の兄弟たちだ。


私の母、高橋まきは内側の自分をあまり表に出さないタイプだった。
そのため、体調が悪くてもそれを隠し、そのことを知ったのは次の日の朝、ということが多々あった。

そんな母の性格を知っていながら、私は何もすることが出来なかった、いや、しなかった。私は人に優しくするのが苦手でよく周りの友達からクールだと言われる。でも母だけは「本当の真澄はすっごい優しいんだもんね」と言ってくれていた。

いつからか、母はよく寝込むようになった。いくら私でも心配になり、病院に行くよう説得して何とか承諾してくれた。

学校から帰って来て見た母はいつも通り、台所で晩御飯の準備をしていた。
診察の結果を聞くと、まだ病名は分からないものの通院するよう言われたそうだ。



もうすでに私達家族の戦いは始まっていたのかもしれない。
苦しい生活を強いられるのは母だけではなく
父も子供も同じだった。

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