出会いは星と波の彼方より
夏の星々が輝き、波に揺られて光の螺旋を織り成す海岸を僕は歩いていた
産まれた時から変わらないこの海岸は、僕にとって庭のようなものだ
薄雲がかかっているけど月明かりだけで十分にどこに何があるのかわかる
その海岸を風にのって聞こえてくる歌声に向かって進んでいく
岩場の方から流れてくる大好きな姉様が唄っている静かな歌、でも温かい感じのする歌が僕は大好きだった
僕が岩場についたとき、月にかかっていた薄雲が晴れてきた
月の光に照らされて、姉様の姿が岩の陰から浮かび上がって来た
「姉様。」
「え、クロン?」
不意に声をかけられ驚いたのか、姉様は歌中断し振り返った。
「もう、クロン!唄っているときは声をかけたらダメと言ってるでしょう。心臓が飛び出す程驚いたわ」
「ごめんなさい、姉様。でも、姉様が悪いんだよ?約束の時間なんかとっくに過ぎてるんだから。イエローみたいな変人やランドのバカに会っちゃったらどうするのさ」
「ダメよクロン?イエローさんもランド君もいい人達よ。それに・・・平気よ。誰も私に手を出したり出来ないから」
真っ赤な燃えるように紅い髪、水晶のように白く透き通った肌、細くしなやかな尻尾、少し垂れ気味の耳・・・近隣の村で、いや、世界中探したって姉様より綺麗な女の子なんかいやしない。
でも、冬にはこんな綺麗な姉様がいなくなってしまう。
山神様の花嫁になるために・・・
10年前の冬、山神様は突然現れた。
この地域を厄災から守る代わりに、年に一度満17歳の女性を花嫁を差し出すように近隣の村々に告げた。
姉様は春に17歳になった
そして、この村で唯一人の17歳の女性だった為に花嫁にならざるをえなかった
確かに大事な花嫁に手を出すバカはいないだろう
でも・・・
「クロン、あれは何かしら?」
姉様の声に僕は現実に引き戻された。
姉様が指差していたのは沖の方から流されてくるモノだった。波間に漂うそれは月明かりに白く輝いていた。
やがてそれは浜辺に打ち上げられた。それは黒い髪の人だった
「姉様!村に戻って村長達を呼んで来て!」
僕は姉様に叫んだ
姉様は既に村の方に駆け出していた
僕はその漂流者が生きている事を確認しながら思い出していた
古い村の伝承、白銀の英雄の事を
これが僕とセイヤの出会いだった
産まれた時から変わらないこの海岸は、僕にとって庭のようなものだ
薄雲がかかっているけど月明かりだけで十分にどこに何があるのかわかる
その海岸を風にのって聞こえてくる歌声に向かって進んでいく
岩場の方から流れてくる大好きな姉様が唄っている静かな歌、でも温かい感じのする歌が僕は大好きだった
僕が岩場についたとき、月にかかっていた薄雲が晴れてきた
月の光に照らされて、姉様の姿が岩の陰から浮かび上がって来た
「姉様。」
「え、クロン?」
不意に声をかけられ驚いたのか、姉様は歌中断し振り返った。
「もう、クロン!唄っているときは声をかけたらダメと言ってるでしょう。心臓が飛び出す程驚いたわ」
「ごめんなさい、姉様。でも、姉様が悪いんだよ?約束の時間なんかとっくに過ぎてるんだから。イエローみたいな変人やランドのバカに会っちゃったらどうするのさ」
「ダメよクロン?イエローさんもランド君もいい人達よ。それに・・・平気よ。誰も私に手を出したり出来ないから」
真っ赤な燃えるように紅い髪、水晶のように白く透き通った肌、細くしなやかな尻尾、少し垂れ気味の耳・・・近隣の村で、いや、世界中探したって姉様より綺麗な女の子なんかいやしない。
でも、冬にはこんな綺麗な姉様がいなくなってしまう。
山神様の花嫁になるために・・・
10年前の冬、山神様は突然現れた。
この地域を厄災から守る代わりに、年に一度満17歳の女性を花嫁を差し出すように近隣の村々に告げた。
姉様は春に17歳になった
そして、この村で唯一人の17歳の女性だった為に花嫁にならざるをえなかった
確かに大事な花嫁に手を出すバカはいないだろう
でも・・・
「クロン、あれは何かしら?」
姉様の声に僕は現実に引き戻された。
姉様が指差していたのは沖の方から流されてくるモノだった。波間に漂うそれは月明かりに白く輝いていた。
やがてそれは浜辺に打ち上げられた。それは黒い髪の人だった
「姉様!村に戻って村長達を呼んで来て!」
僕は姉様に叫んだ
姉様は既に村の方に駆け出していた
僕はその漂流者が生きている事を確認しながら思い出していた
古い村の伝承、白銀の英雄の事を
これが僕とセイヤの出会いだった
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