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楽園

[164]  柘榴  2007-10-15投稿

彼等は 行ってしまった

何時もと何一つ変わりはなかったのだ。私の指が描いた緑は生い茂り、私が息を吹きかけた動物達は皆飛び回り、

何一つ不自由はなかったのだ。

そして彼等も、私に微笑んだ。

「ほら 貴方の描いた生命達はこんなにも輝いている」

彼女は笑い

「貴方が描いた私達はこんなにも幸せだ」

彼は笑い

私も笑い、孤独という悪はいつの間にか去っていた。

幸せだったのだ


何故、と呟く声が虚しく空を漂う。

何故 入り込んだと

何故 教えたと

何故 裏切った と。

あの悪しき生命のせいだけではない。彼女があれを食し、彼が彼女に近づき、そうして二人が私を裏切ったのだ。

「御免なさい 貴方の事は愛していました」

「私達はもう去ります だけど 本当に貴方を愛していました」

今更、と呟く声は枯れてしまった。もしかしたら彼等を作った私が悪いのかもしれない。

孤独 以外を知ってしまった

私が 彼等に造られてしまった

こんな思いは 知らなかったのに

今更、と新たな感情に戸惑い 苦しみ 崩れ落ち ようやく愚かだったと気づいた私は必死に乾いた唇を操り 再び声を漏らすのだ

「彼等は 行ってしまった」

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