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証(あかし)〜帰り道

[197]  2007-10-16投稿
このとき純子は22才。

父親と同じ系列の薬品会社の事務をしていた。


純子には、別段好きな人も、おつき合いしている人もいなかった。
ただ、仕事が楽しくて、友人と帰り道にするおしゃべりが楽しくて、毎日が充実していた。


「急に、結婚だなんて…。それも親に何も言わないで、突然私ひとりを呼び出すなんて…。」

死んだ姉の家からの帰り道、前は見ずに、ずっと下ばかり見て歩いていた。


「でも、いくらなんでも、お母さん達は反対するに決まっているわ。」

そう考えると、いくらか胸のあたりがスッキリとしてきて、足どりも早く、家路を急いだ。


すっかり日も落ちて、空にはきれいな星が輝いていた。

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