神罰タイムアウト
壊れかけた砂時計がただ黙々と時を落とす。
悲しいくらい無情に、怖いくらい残酷に。
落ち続ける砂粒を止める術(すべ)を持たない人間は、ただ己を守るためだけに武装した。
やがて醜い争いが起こり、世界の八割が滅んだ。
死に逝く人々全員がまだ見えぬ平和を願い、生き残った仲間に敵を殺せと叫んだ。
それでも砂時計は止まらない。止まりはしない。
気まぐれな神が砂時計をひっくり返すまで、人間は殺しあわなければならない。
一人の傷付いた少年兵が真っ赤に染まった戦場をみて、天を仰いだ。
「…神よ…。あなたはなぜそれほどまでに残酷であらせられるのか?」
そこに神はいない。
しかし少年は続ける。
「おぉ…神よ。あなたが神であるならば、この無意味な争いを止めよ。私達人間に何をさせようというのか。」
少年兵は今まで溜め込んでいたものを吐き出すように神に訴え続けた。
「私は無知だ。神のご考えなど知ることなど出来はしない。しかし、この仕打ちはあんまりではないか!」
少年兵は神に叫んだ。
神は何も言うことなく、ただ死のみが連鎖されていくこの大地をみて微かに笑った。
神は愚かな人間を恐れていたのかも知れない。
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