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FRAGILE DREAM

[281]  結姫  2007-10-19投稿
「キャアアァ−−!!」
「アリア!!」
何本もの大きな鉄材が上から落ち、彼女の姿を隠した。叫び声以外の音がない。いやに映像がゆっくりで、映画のワンシーンのようだ。俺は彼女に走り寄った。
「アリア!」
幾重にも重なる鉄の下から、赤い液体が流れ出すのが見えた。
「…アリア?」
−返事は、なかった。


−1988年、ソ連・ロシア−
「−−−!」
俺はがばっと起き上がった。荒れた息遣いがおさまるのを待ち、片手で頭を抱える。ベッドのシーツはくしゃくしゃで、随分暴れたようだ。
「−−またこの夢か…」
俺はゆっくりとベッドから下り、さして光も入らない窓際の粗末な椅子に腰掛けた。
俺の名前はダンテ。苗字は知らない。自分のことでわかるのは、あとはルーマニアの生まれらしいことと、歳が十代後半くらいであるということだけだ。俺が今いるこの部屋は、ソ連の工作員養成・訓練所の一室で、もちろん俺は工作員の一員だ。俺の親はベトナム戦争で戦死したらしく、俺はもの心ついたころからここにいた。それからずっと、ここで人を殺す術や騙す術を学び、今では任務に付けるようにまでなっている。
夢にでてきた少女−アリアは、俺と同じく工作員だった。しかし、彼女は一年前、任務中に不慮の事故で−…死んだ。俺の目の前で。
それから俺は、時折彼女の夢を見る。別に特別仲がよかったわけではない。むしろ悪かったほうだ。それでも、夢に見てしまうのは、助けられなかった罪悪感だろうか。なんにせよ、自分の弱さに嫌気がさす。

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