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秋空、夕暮れ、群青の彼方へ。

[297]  零戦  2007-10-21投稿
過ぎ去る風は涼しく、私の頬を撫でて舞う。
舞い散る枯れ葉に何処か寂しいものを感じるが、秋風がその感情ごと吹き飛ばす。

「流石に冷えるね」
秋だもん。
「厚着、するべきだったね」
私もそう思う。
「ねね、流星群来るの何時だったか教えてくれない?」
……40分くらい後だって。
「コンビニ行かない?流石に寒いよ、コーヒーでも飲もう」
君の奢りで。
「ちぇー、なんだよそれー」


買ってきたコーヒーを手の中で転がす。暖かい。
「今度からはカイロ持ってこよう」
コーヒー代もね。
「うぐっ……ま、まぁいいさ。ポットに淹れて持ってくるから」
さて、流星群が来るまであと30分くらいあるね。どうしよ?
「んー、一応このまま待ってみようよ。予定より早く来るかも!」
じゃ、そうしますか。
他にする事もないのでコーヒー缶を転がして暖かさを確かめる。
しかしいきなり呼び出して流星群見よう、とはね。
「まーまーいいじゃんよ。どうせする事もないっしょ?」
くっ……私の青春は色恋以外にこそあるのよ。
「はいはい」
流すなぁ!
「あ、あれ!見てみなよ!」
何?流星群?

指さされた先には星が1つ輝いていた。
なんだ、流星群じゃないじゃん。
「一番星だよ。綺麗じゃん」
確かに。


緋色の雲、群青の空の彼方に輝く星は確かに美しかった。
隣にある笑顔もまた、それに劣らぬ美しさである事に気付いた私は幸せだ。

「何か風強くなったね。手、繋ご?」
はい。


繋いだ手はとても暖かく、気持ちよかった。

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