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夢を見る

[240]  ふく  2007-10-22投稿
最後のお願い

一度で良い
一度だけで良いから抱き締めて

忘れるから
もう迷惑かけないから
抱き締めて欲しい


私の要望を受け入れてくれた
抱き締めてくれた

あなたの腕が思っていた以上に細くて
少し切なくなった
細くて長い腕に包まれながら頼りない背中に手を伸ばした

初めて触れる背中
あなたの服の匂い
胸の温かさに私の想いは爆発寸前になる

忘れるから
その決意とは裏腹に
心臓が凄い音を立てる

自分のあまりにも大きな鼓動であなたの心臓の音が聞こえない

ううん
違う
あなたの落ち着いた鼓動
静か過ぎるくらいの音

その音でまた目が覚める
私への想いの小ささ
社交辞令にも似たあなたの行動に

哀しい
あなたに少しでも愛があれば
少しでも心を乱してくれたら

それでもいい
ずっと縋りたかったあなたの腕に
ずっと飛び込んで行きたかったあなたの胸に
今こうして私が居る

夢のような人だった
だから今夢から覚めるだけだ

小さな身体があなたで満たされ
小さな胸があなたで苦しくて
小さな頭があなたで一杯になる

こうやって夢を見させてくれただけで夢を叶えてくれただけで十分

あなたの顔を見上げたらきっともっと欲張りになる
だから自分から身体を離した

ありがとう
ごめんね

大好きでした

未練は残してはいけない
約束したから
忘れるって約束したから

叶うことのない恋ならば
あとは夢から覚めるだけ

その三つの言葉を残して思い切り走った

何処かであなたが追い掛けてくれるような気がして足を止めた

振り返ってもあなたは居なくてゆっくりと歩いて行くあなたの後ろ姿が見える

夢を見続けることはやめたはずなのに
またこうやって期待を捨てきれないでいる

いつになったら完全に現実に戻れるのだろう

みすぼらしく立ちすくむ自分が惨めで
孤独が怖くて
あなたにまた抱き締めてもらいたくなる

風が冷たい
枯れ葉が舞う
あなたに抱き締められた身体が冷たくなっていく

孤独が爆発する

これが現実

夢のような人だった
あなたは私の夢だった

ばいばい

最後の温もりだけは忘れない

どうせ散る恋なら
この枯れ葉のように美しく散りたい

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