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龍と狼36

[356]  武藤 岳  2007-10-25投稿
刈られた相手が宙に浮き、落ちた瞬間、鳩尾に体重を乗せて膝を入れた。

そして、背後に気配を感じた瞬間、意外な声が想定外の方向から耳に飛び込んだ

「ソン!」


ソルミの声だった。

ソルミが背後の男に急接近した瞬間、

「ハッ!」

一瞬の掛け声と共に、ソルミの華麗なハイキックが相手のアゴを割った。

さっき見せた、子供のようなソルミとは違う、闘う勇者を見た感覚になった。


ウンジュが、ワンボックスから引きずり出した男を、後ろから羽交い締めにして、ソンスンが胸ぐらを掴んだ。

「お前達は何者なんだ?」


男は不適な笑いを残すと、ギュッと奥歯を噛みしめた。


カチッ


嫌な臭いが漂い、男はダラッと全身の力が抜けた。

「カプセルかよ。こんなん仕込んでおくっちゅう事は、こいつらプロやな。」

「さっきの爆発は、こいつらの仕業なん?」
不安そうにソルミが聞いた。

「多分な」

ソンスンはソルミの手を引き、男の死体から距離をとった。


「おい、他の奴もみんな、噛んでしまってるわ」

「手がかりなしか・・」

ソンスンが残念そうに言った。

「そうでもないで」

ウンジュが妙な笑顔を、ソンスンに見せた。

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