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龍と狼37

[383]  武藤 岳  2007-10-25投稿
「見てみい、パスポートや」

ウンジュが嬉しそうに言った。

「どうせ、偽造だろ?」

ソンスンはウンジュを相手にしていない素振りだった。

ソンスンは死体をよく見てみると、ちょっとした事に気がついた。

「なあ、ソン、こいつらの顔、ちょっと違うなあ?」

ソルミも気付いた。

「トルコ系アメリカ人や」

ウンジュが言った。

「白人っぽいんやけど、少し違うな」

ソンスンがワンボックスのダッシュボードに置いてあった、一冊の本を見つけた。

「クルアーン(コーラン)だ。」

「こいつら、イスラムか!?」

ウンジュが少し驚いた言い方をした。


ソンスンが、何かを話そうとした時、ヘリコプターの爆音が聞こえてきた。

頭上を報道や警察のヘリコプターが飛び交い、続々と警察や自衛隊の人間が集まって来ている。


「長居は無用やな」

ウンジュが呼びかけると、ソンスンとソルミが北の方へ、ウンジュが西側にある公園の入口へと向かい、その場を離れた。


それから数分後、ソンスンとソルミは、背後からの爆音で立ち止まった。

公園の方だ。

「お兄ちゃんは!?」
ソルミが少し動揺したが、ソンスンが冷静に諭した。
「心配ない」

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