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レジェンド‐新世紀伝説

[655]  朝倉令  2006-03-21投稿
新紀元0世紀。


度重なる天変地異の果てに起こった小惑星の衝突に、人類は壊滅的な打撃を受けていた。

 あまりの窮状をみかねた神仙界の住人達は、異界と人間界の垣根を取り払い、精霊達を人類の救助のために差し向けていた。

 これは、そんな時代の物語である。





 ドラゴン


「いやぁ、今日は君がいてくれて助かったよ、ビアンカ。  僕一人じゃこれだけの量は運べやしないからね」

山際晋は、傍らに並んで歩いていた白人娘に笑顔を向ける。
 彼の背にはリュック、そして両手には大きな袋をぶら下げていた。
 ビアンカは、彼に数倍する巨大な包みをかついでいる。
 彼女、ビアンカは白虎の化身であった。
 人類とは比ぶべくもない筋力を有している。


「お手伝いが出来てうれしいよ。  あのさ、晋は何でドラゴンって呼ばれてんの?  人間なのに」

「それはね……今からお目にかけるとするよ」

晋は食料の詰まった袋とリュックを地面におろす。

 二人はいつのまにか、大勢のボロをまとった集団に包囲されていた。

 働いて食を得ようとせず、他者から奪おうと言う連中に違いなかった。


「ここは僕に任せて」

晋は言い置くと、ゆるやかな動きで敵に向かっていった。



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