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龍と狼46

[334]  武藤 岳  2007-10-26投稿
「奴等が日本人でもか?」

チャンホが挑発した。

ソンスンはムッとした表情になった。

「あんた達、NISは、KCIAの頃から、破壊工作や暗殺はお手の物じゃないか!
何故、わさわざ“プライベーター”の俺を使おうとする?
トカゲのしっぽ切りか?」

チャンホは、仕方ないといった表情になった。

「ウンジュが教えてくれた情報によると、連中の拠点はアメリカだ。
まだ、それ以上は何も判っていないが、我々としては、連中の幹部、又はそのリーダーの抹殺を果たしたい。
しかし、アメリカでは、軍の人間を秘密裏に派遣する事は、テロ直後の今のアメリカの状況では非常に難しい。」

「それで、俺を使いたい訳か。」

ソンスンは吐き捨てる様に言った。


ソンスンは暫く考えた末、チャンホに切り出した。

「条件が三つある。その条件がクリアできるなら、あんた方の犬になってもいい。」

ソンスンは不安気に見つめるソルミをチラッと見た。

「どんな条件だ?」

チャンホは、背広の襟を正して、背筋を伸ばした。

「一つ。イ・ウンジュの遺族に対して充分な補償をする事・・一生、遊んで暮らせるくらいのな。」

チャンホは黙って、首を縦に振った。

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