FRAGILE DREAM 10
「そんなことは」
俺は即座に答えた。俺だってプライドがある。だが−…
「そうか。では頼んだぞ、ダンテ。下がれ」
「…はい」
俺はゆっくり立ち上がり、セシリーナに一礼して、ふらつく足取りを何とか普通にしようと気をつけて部屋を出た。俺は、心臓を中心に、体の中が妙に熱く、なんだか溶岩がゆっくりと内臓を溶かしている気がした。
俺が…フランカを?セシリーナの部屋のある棟と、訓練生用の寄宿舎を繋ぐ渡り廊下で、俺はついに歩けなくなり、自分の腕を強くにぎりしめ、壁にもたれ掛かった。
人を殺すということ自体に、抵抗があるのではない。俺はそんなことに今更心を痛める人間ではない。
だが、フランカを殺すことを考えると−−まるで呪いのように、アリアの死の様子が、フランカと同じ深い碧眼が、脳裏に浮かんで消えない。
『キャアアァ−!!』
『アリア!』
「何なんだよっ…」
俺は壁を殴り付けた。
「消えろよ!」
俺は自分の手に力を込めた。
「畜生…」
‘仲間’の死は、どうやら俺の中で非常に大きなことらしい。俺達のように、親もなく、幼い頃から閉鎖的な環境にいて、黒い仕事をしていると、‘仲間’との関係は非常に大切になる。子供だから、なにか頼りにする絆が必要なのだろう。しかし、これはセシリーナの教育の賜物だと思うが、ここにいる訓練生にとって‘仲間’にたいする感情は、‘愛情’や‘友情’とは異なる。彼等は単なる‘同じ集団に属するもの’であって、それ以上の何でもない。誰かが裏切れば、その瞬間から、そいつは敵以外の何でもない。そういう風に、みんな割り切るようにできている。
俺は即座に答えた。俺だってプライドがある。だが−…
「そうか。では頼んだぞ、ダンテ。下がれ」
「…はい」
俺はゆっくり立ち上がり、セシリーナに一礼して、ふらつく足取りを何とか普通にしようと気をつけて部屋を出た。俺は、心臓を中心に、体の中が妙に熱く、なんだか溶岩がゆっくりと内臓を溶かしている気がした。
俺が…フランカを?セシリーナの部屋のある棟と、訓練生用の寄宿舎を繋ぐ渡り廊下で、俺はついに歩けなくなり、自分の腕を強くにぎりしめ、壁にもたれ掛かった。
人を殺すということ自体に、抵抗があるのではない。俺はそんなことに今更心を痛める人間ではない。
だが、フランカを殺すことを考えると−−まるで呪いのように、アリアの死の様子が、フランカと同じ深い碧眼が、脳裏に浮かんで消えない。
『キャアアァ−!!』
『アリア!』
「何なんだよっ…」
俺は壁を殴り付けた。
「消えろよ!」
俺は自分の手に力を込めた。
「畜生…」
‘仲間’の死は、どうやら俺の中で非常に大きなことらしい。俺達のように、親もなく、幼い頃から閉鎖的な環境にいて、黒い仕事をしていると、‘仲間’との関係は非常に大切になる。子供だから、なにか頼りにする絆が必要なのだろう。しかし、これはセシリーナの教育の賜物だと思うが、ここにいる訓練生にとって‘仲間’にたいする感情は、‘愛情’や‘友情’とは異なる。彼等は単なる‘同じ集団に属するもの’であって、それ以上の何でもない。誰かが裏切れば、その瞬間から、そいつは敵以外の何でもない。そういう風に、みんな割り切るようにできている。
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