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本当の彼

[332]  ふく  2007-10-27投稿
『今すぐ会いたい 会いに来て』
彼からのメールで家を飛び出した
返信を忘れるくらい舞い上がった
彼の待つ場所へ
必死に駆けて行った
ただ無心で走った

彼を見付ける事は容易い
どんな人混みでもすぐに見付だす自信はある

しゃがみ込んだあなたを見て切なくなる
『急にどうしたの』
息を切らした声にやっと気付いた
驚いた顔で見上げる
突然笑い出す
『ホントに来たんだ 馬鹿じゃないの』
一瞬にして頭が真っ白になる
『だって』
それ以上の言葉が思い付かない
か細く情けない自分の声
悪戯に笑う彼の顔

目の前にいる
この男を殴りたい

いつもそうだ
舞い上がればすぐに落とされる
もう懲り懲りだと思わされるのに
愛するが故に許してしまう
本当に私は馬鹿だ

握る拳が
唇が
心が震える

もういい
何度も愛を感じ
何度も傷ついた

疲れた

走る元気もない
あなたに背中を向けてゆっくり歩いた
振り返りはしない
あなたなんかいらない
どうせ捨てられるなら
捨ててあげる

ほらまた私の携帯が鳴る
あなたからのメール

『さっきはごめん 冗談だよ 戻って来て 一緒にいて』

携帯の電源を切った
もう捨てたんだ
揺れたりしない

殴れなかったのは
せめてもの愛情
自分の手を痛め付けたくなかっただけ

もう振り向かない


あの後
彼は泣いていたらしい
寂しくて
ただ一人で泣いていたらしい


せめて
私が愛している間
本当の彼を見てみたかった

あなたは何を考えていたのだろう
私をどこまで愛してくれていたのだろう

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