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優しい音 第一章

[193]  RIA  2007-10-27投稿
『渋谷』
重たい…重たすぎる身体がだるぃ。池袋から渋谷へ山手線に揺られサラリーマンの酒臭い匂いをかき分け足早にホームを歩く。梨奈の出動時間はいつもこんな時間。
『おー梨奈!』大柄のレコードを持った武士が大きく手を振った。道行く人武士を見た。
『おーデブぅ』梨奈のハスキーな声と少し濡れたエアリーなロングヘアと大きな目、すらっとした細身な身体…誰もが目を奪われる。
渋谷の番犬の横で態度でかく座る武士に近づく。
『相変わらず喋んなきゃいーのにな、梨奈は』
『久々にあったのになんだよ』何個かの冗談を交わし
武士は空を見上げて言った。
『なぁ梨奈、まこ元気か?』
『うん』梨奈は微笑んで答えた。
『ならよかった』



ねぇまこ…あんたの奏でた音が今日もこの街で流れ出るよ。
あのときのまま澄んだ音のまま…まるでこの街を浄化するように。


続く

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