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エターナルコア エピソード1

[386]  姫乃 真咲  2007-10-28投稿
巨大な塔の最上階。
ここより上は、ステーションからの電力供給経路のみしか残されていない。
地球上で最も高い場所。
そこに立ち、彼は改めて噛み締める。
彼の想いと理想を実現する、始まりに昇り積めたのだ、と。
「…さぁ、始めようじゃないか。人類が次なる段階へ上がる、その為の厳正なる選別を。」
意味深な言葉とともに、閉ざされた運命の幕を開ける。



鼓動が高鳴る。
前後左右から狙われている危機感。
背筋が凍るような恐怖感も、一線を越えると逆に心地良さに変わってくる。
沸騰した血液が、スーッ…と冷めて行く。この感じが堪らなく好きだった。
興奮と冷静が入り交じる矛盾した精神状態は、思考を加速させ、神経を研ぎ澄まさせる。
普段は気付かないようなことも認識し判断できる、エースに求められる資質。

死角から的確に放たれる敵意。白い閃光となり、空を切る。
数として16。
普通ならかわし切れる数ではない。
しかし、閃光の間をすり抜けるように、コンマ0秒以下の緻密な動作で、捌き切る。
それを可能とする反応速度は、閃光の軌道から敵意の源を特定させる。
(距離にして120…水平方向、右に32…鉛直方向、上に15!)
回避運動の勢いそのまま狙いをつけたその場所に、右の刃を突き立てる。
鈍い音を響かせる。手応えから察するに、ギリギリ防御されたらしい。
逃がすまいと2度、3度斬りつけるがことこどく弾かれる。
再び距離を取ろうと後退する敵に、追い撃ちをかける左の砲門を向ける。
そのまま相手の頭部、左腕部を撃ち抜く。

『ビーッ…演習終了、演習終了。武装許可領域にいるピースフレームは、直ちに所属基地へ帰還せよ!…繰り返す…』

頭に響く機械音。
それが終わりを告げていた。
「…全く。演習だってのに本気で墜とす奴があるか。」
頭と左腕を失った金属の塊から、男が顔を出す。
「すいません…。PFに乗るとつい…。てかライフル16発も撃っといて、ないんじゃないですか?」
「お前さんなら大ジョブだろ?゛自由゛塔派の次期エースパイロットさんよ。」
嫌味混じりに男が言う。
「そんなことよりも、早く基地まで運んでくれや。モニターやられちまってるから動かせねぇんだ。ジャッジが来る前に頼むぜ。レイン。」
レインと呼ばれた少年は、ため息をついた。

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