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僕らは 第一話

[419]  unknown soloist.  2007-10-31投稿
僕は目を開けた。
6時45分。アラームが鳴る予定時刻の15分前だった。
目覚める前に何か夢を見ていた気がするが、思い出せない。僕はベッドから降り、カーテンを開けた。
灰色の雪雲が世界を包み込んでいて、薄暗い。朝が来たという実感がまるで湧かない。もっとも、僕は常々、朝など二度と来なければ良いと思っているのだが。
ぼんやりと、下の通りを歩くサラリーマンを目で追っていると、不意にアラームが鳴った。僕はすぐには止めなかった。鳴らしていても誰にも迷惑はかからない。この家には僕以外、誰もいないのだから。

5分程アラームを自由に鳴らせてやった後、僕は制服に着替え始めた。
上着を脱いだとき、鏡に移った自分の姿を見た。腹には、あの事件のときに出来た大きな傷痕がある。

――そう、あの忌まわしい事件――

三年前、この家にはまだ僕以外にも住人がいた。両親と弟の風樹、ポメラニアンのリン太だった。
父さんは小さな病院の院長をしていて、母さんは高校の教員だったので、普通の家庭よりは厳しく育てられた。それでも笑顔の絶えない、明るい家族だった。大好きだった。僕の世界の全てだった。

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