【帰郷の想い】
ザアー・・・
突然降りだした雨が、窓ガラスにシャワーのように打ち付ける。
『このうちの一粒でも中まで入りこんでは来ないものか』
ボウッと外の景色を眺めながらそんな事を思う。
それは幼い頃の私の癖のようなもので、雨が降る度に窓のさんをずっと眺めていた。
しかし、そこから雨が侵入してきたことは無く、家の頑丈さに子供ながらに感嘆したものだ。

５年振りに帰る実家。
最後に帰ったのは結婚の挨拶の時だ。
その後は何やかんやと時間に追われ、気がつけば５年がたっていた。
年賀状や電話はやり取りしていたし、大した変化があった訳ではないから、まぁ良いかという気持ちになっていたのかもしれない。

子供が生まれて丁度よい機会だから、と言ったのは妻だった。
妻の実家は都内なのでそれなりに交流があり、盆正月は毎年そこで過ごしている。
だから余計に妻は、私の里離れを気にしていたのだ。

今では、これが親の死に目で無くて本当に良かったと発案者の妻に感謝している。

生後３ヶ月の長女と、その長女を腕に抱いて眠る妻の顔を見て、なんとも言えないいとおしい気持ちになる。

岡山空港着陸まであと15分たらず。

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