携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 同じ星に願いたい… 3

同じ星に願いたい… 3

[107]  2007-11-03投稿
あの人が弾くピアノだけを一生懸命聴いていたような気がする。


「彼、ピアニストだったんだ」


あまりの驚きで、コンサートが終わって会場から出るのに、どこかへ掴まっていないと倒れそうな位フラフラしている。一人なのに…大丈夫か?私。
科学館の出口を出た所で


「また会いましたね。」


そう声を掛けてきたのは、あの人でした。

パンフレットにピアニストの名前が書いてあったので、私は彼を名前で呼んだ。


「市川春樹さん…ですね。」


声がかすかに震えた。


彼も同じように、最近行くプラネタリウムで、場所が違うにも関わらず見掛ける私を覚えていてくれたのです。


「星が好きなんですか?」


ほぼ同時に同じ質問をした事に、二人でクスッと笑ってしまった。

彼が優しい口調で


「もし良かったら、少しお茶でもどうですか?」


これも何かの縁かもしれないと、科学館のそばにある喫茶店へ誘われるまま行く事にしました。


「改めて、僕は市川春樹。ピアノを教えながら演奏活動をしてます。 星が大好きでね、プラネタリウムコンサートで演奏するのは念願だったんだ。」


優しい口調と柔らかい笑顔に、私も気持ちが和らいだような?


「加藤浩弥(ひろみ)です。漢字で書くと"ひろや"って読まれるけど、卑弥呼の"み"ですから。歯科衛生士をやってます。星を見るのは私も大好きです。」


彼は、プラネタリウムで次に私に会ったら声を掛けてみようと思っていたんだって。
他に分かった事は同い年だと言う事。

しかし、我に返ってみて、何処に住んでいるのかも、メールアドレスすらも聞かないで別れた事に気がついた。
何しろ星の事とピアノの話しかしなかったのだから…。


それでも、『あの人』から『市川さん』に変わった事は、胸に響く出会いに間違いありませんでした。
次、何処で会えるのか、もう会えないのかも解らないのに…。



「ねぇ、加藤さん、何か良い事あった?」

歯科医院のスタッフである同僚が聞いてきたのにはびっくり。
もちろんシラをきったけど、嬉しそうな顔でもしていたのかなぁ?

こんな事で突っ込まれたくなかったので、ポーカーフェイスで乗り切らなきゃ。

感想

感想はありません。

「 萠 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

新着小説作品

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス