携帯小説!(PC版)

秘密

[444]  MEGU  2007-11-03投稿
とにかく彼女は普通だった。
普通の顔立ちで。
普通のSTYLEで。
普通のOLで。
普通に友達がいて。
普通に遊び。
普通にダラけて。
無難に仕事を熟し。
無難に1年をヤリ過ごしていた。
でも彼女には10の秘密がある。
でも彼女はそんなそぶりも見せない。
ただ隠し上手になっただけ。
ただ慣れただけ。
ただそうして35歳になっただけ。
それだけ。

16歳だった。
彼女はアルバイトを始める事にした。
理由は単純。
彼にプレゼントしたかったからだ。
いくつか面接を受けたがやっと採用されたのはドラッグストア。
生まれて初めての経験でただ緊張していた。
本当に緊張して店長の話しも届いてはいなかった。
やる事全てが失敗。
あっという間に昼休みに入り"辞める"事ばかり考えて…昼休みは終わってしまった。
午後。
彼女はただ真剣に化粧品のショーケースを磨いていた。
彼がそこにいるのも気付かずに…。
最悪だった。
彼が彼女を初めて見た時、彼女は汗だくで埃まみれだった。
ただ恥ずかしかった。
彼は製薬メーカーの営業だった。
これで3つの謎が解けた。何故彼が週に2度も現れるのか。
何故彼が薬の陳列をするのか。
何故彼が店長に媚びるのか。
でも1つ謎は残ったままだった。
何故彼が私を手伝ってくれるのか。
これは1ヶ月後に解けた。プレゼントがしたくて始めたバイトの理由が変わってしまった。
正確にはプレゼントする"彼"が変わったのだ。
それから彼女は俄然、仕事が楽しくなった。
空回りする事も無くなった。
社会人の彼が出来た事で優越感も味わっていた。
元彼を捨てたという非難中傷も気にならない程。
ただ楽しかった。
ただ幸せだった。
綺麗にもなれた。
大人にもなれた。
背伸びもした。

彼は油断したのだろうか。
彼はわざとしたのだろうか。
彼は…。

ある日、手が気になった。
何か違う手。
薬指に何かが光る。
指輪。
シンプルなリング。
彼女はもう1度だけ見た。右手ではなかった。
お箸を持つ手とお茶碗を持つ手…なんて事までやってみた。
間違いなく左手だった。


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