4の呼吸?−?
魁はまぶたを閉じた。
長ぇんだよ・・・・
それは体育館の檀上に上って長々と喋っている校長と朝礼という意味のない時間に向けられたものだった。
魁はクラスの列のど真ん中で目を閉じて俯いている。横から微かではあるが喋り声が聞こえてきた。それは隣の女子集団の喋り声だった。きっと校長の話なんかちっとも聞いてはいないんだろう。
「ねぇー、校長の話長くない?ほんっとに無駄だよね。」
それには魁もなっとくだった。そしてそれを聞いた後ろにいるもう一人の女子が小声で答えた。
「それいえてるー。朝礼なんか無くなれば良いのにね。」
「あっ、そうだ。ヨシエ、この話知ってる?」
二人の女子の片方はヨシエというらしい。そのヨシエが聞いた。
「ん?何の話?」
「明日、この学年に転校生が来るんだって。」
転校生・・・・?
その話は魁も知らなかったことだった。彼はいつの間にか聴き入ってしまっていた。
「それ本当?男子だったらいいね。」
とヨシエが笑って答える。
「そう?イケメンならいいけど、おもしろい子だったら女子でもいいけどなぁ。」
すると、担任の先生がやって来て二人の女子を注意した。
話がもう聞けないと解ると、魁は目を開けた。大きく鼻の穴を膨らませて息をしていた。彼にとっては少しの喜びだった。
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