息子
僕は、物陰に隠れるあの人の気配を感じていた。
あの人って言っても誰だか分かってるんだけどね・・・
僕の名前が知りたいのかい?
僕は僕。
あえて名乗らない。
だって、そうでしょ?!僕が仮に名乗ったって変わらないもの・・・
まただ。
あの人はまるで僕に何処までも着いてくるみたいだ。
「迷惑」
漢字二文字で当てはめてみた。
そりゃ誰でも迷惑されたら怒るって知ってるよ。
でも、あの人を可哀想に思う僕。
誰もが僕の事を見て、「あの子、可哀想ねぇ」と、呟く。
僕自信も「ヤダ」と、思ってた。
アイツの家族の方が僕にかけ寄って来て、教えてくれたんだ。
「僕、うちの娘はねぇ、障害者なんだよ。」 おばあさんが話してくれた。
「それでは、どうして僕を追いかけて来るんですか?」
僕は、疑問をぶつけてみた。
すると、おばあさんがよりいっそう、悲しそうな顔してこう言ったんだ。
「僕の事を10年前死んだ息子だと思ってるんだよ。本当、似てるねぇ。」
僕は、それを聞くと泣き出してしまった。
「どうして、死んだ、ん、で、ヒックッ、すか?」
なんとか聞いた。
「交通事故だよ。あの日は、ちょうど、あの子の誕生日だったっけねぇ。」
そこまで言うと、おばあさんも泣き出してしまった。
その事を話すとみんな泣いた。
そして、時が過ぎ―。僕は、今、介護の仕事をしている。
もちろん。
あの人の介護だ。
僕の名は昭太。
あの人の息子と同じ名前だった。
(おわり)
あの人って言っても誰だか分かってるんだけどね・・・
僕の名前が知りたいのかい?
僕は僕。
あえて名乗らない。
だって、そうでしょ?!僕が仮に名乗ったって変わらないもの・・・
まただ。
あの人はまるで僕に何処までも着いてくるみたいだ。
「迷惑」
漢字二文字で当てはめてみた。
そりゃ誰でも迷惑されたら怒るって知ってるよ。
でも、あの人を可哀想に思う僕。
誰もが僕の事を見て、「あの子、可哀想ねぇ」と、呟く。
僕自信も「ヤダ」と、思ってた。
アイツの家族の方が僕にかけ寄って来て、教えてくれたんだ。
「僕、うちの娘はねぇ、障害者なんだよ。」 おばあさんが話してくれた。
「それでは、どうして僕を追いかけて来るんですか?」
僕は、疑問をぶつけてみた。
すると、おばあさんがよりいっそう、悲しそうな顔してこう言ったんだ。
「僕の事を10年前死んだ息子だと思ってるんだよ。本当、似てるねぇ。」
僕は、それを聞くと泣き出してしまった。
「どうして、死んだ、ん、で、ヒックッ、すか?」
なんとか聞いた。
「交通事故だよ。あの日は、ちょうど、あの子の誕生日だったっけねぇ。」
そこまで言うと、おばあさんも泣き出してしまった。
その事を話すとみんな泣いた。
そして、時が過ぎ―。僕は、今、介護の仕事をしている。
もちろん。
あの人の介護だ。
僕の名は昭太。
あの人の息子と同じ名前だった。
(おわり)
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