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DECEIT [脱出] ?

[468]  etc.  2007-11-05投稿
 「何なの?」

 怪訝そうな顔をしながら光はマークを見つめる。

 「最新型の携帯電話だと思ってくれればいい」

 そう答えた望は手慣れた手つきで右耳にはめ込んだ。

 髪の毛を耳にまでかけ、その存在を隠す。

 光も置いてかれまいと、急いで取り付ける。

 すると機械から耳障りな電子音が聞こえてきた。

 『……searching…………』

 光でも聞き取れる程の英語、しかし一体何を調べているのか検討もつかない。

 『……What your name?』

 「……え、何!?」

 いきなりのアナウンスに戸惑いを隠し切れない。

 「名前を言うんだ、名前だよ」

 呆れ顔のマークはバイクの座席の下から何やら取り出しているようだ。

 「……右京 光」

 『日本人と特定。こんばんは、右京様』

 驚いたのはもちろん光である。

 「……凄い……」

 『貴方の体型・身体能力・年齢等のデータを登録しました』

 「……いつの間に……」

 『ただ今からデータの確認を致します。確認が不要の際は御申し出下さい』

 「確認は必ずやっておけ、いずれ役に立つ」

 タイミングよくマークが声をかける。

 他の二人は既に片耳に意識を集中していた。

 『それでは確認致します』

 興味深々、一方で半信半疑の光はアナウンスに意識的に耳を傾ける。

 『細胞中に含まれるミトコンドリアレベル度数はA+と判定されました』

 「……みとこんどりあ?……えーぷらすぅ?」

 「まじかよ!?」

 望は光の発言が受け入れられないようだ。

 「……意外だな」

 出発の準備をしていたマークの手が止まった。

 「何なの? ミトコンドリアって」

 「身体能力を左右すると言われている細胞のなかの組織。酸素を取り込んでエネルギーを作り出す、言わば工場の様な存在だ」

 「で?」

 「俺でさえAランクなのに……」

 望が軽く舌打ちした。

 「理論的に言えば、今の君は望以上に運動神経抜群という訳だな」

 マークが付け足した。

 運動音痴だと言われ続けて来た光にとって、衝撃的なことだった。

 アナウンスは続いている。

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