ピアノの音色と薔薇に、君を想う?
◎第一話
■エピローグ
【『愛してる』とあなたにむけた言霊は、互いに繋がった<運命>という糸に、一粒の涙の雫石に形を変えて、ゆっくりと糸に流れはじめる。】
■第一章 <現在>
『たっくんは大きくなったら何になりたいの?』
母親が、ガチャピンとムックの中に人が入っているなんて想像もできなかった頃の、小さな僕に聞いてきたことをふと、思いだしていた。
なんて答えたっけ?
35歳の今の僕には思いだせない。
何故、僕だけ生きているんだ?
2年前のあの日、由香里と一緒に何故この世を去らなかった?
果物ナイフで左足のふとももを刺してみる。
日比谷駅に向かう途中、僕は毎日繰り替えされる単純な歩行動作をしていた。
日比谷駅に着いたら三田線に乗って文庫本を読みながら西巣鴨駅で降りて、コンビニで弁当を買って家へ帰る。
いつしかそんな単純作業にも、なんの感情も感じなくなっていた。
誰もが、自分だけには未来ある。と何の疑問も感じないで、夜明けを迎えるだ……。
果物ナイフが刺さったところを冷静に見つめてた。吹き出した赤い血の鮮やかさと痛みが心地良い。
後、もう少しだけ深く刺せば、動脈に辿り着けそうな気がした。
不思議と楽しい……。
『止めて…。拓也。』
振り返ると、悲しい顔をした、由香里がそこに立っていたんだ。
紛れも無い、由香里だったもんだ……。
■エピローグ
【『愛してる』とあなたにむけた言霊は、互いに繋がった<運命>という糸に、一粒の涙の雫石に形を変えて、ゆっくりと糸に流れはじめる。】
■第一章 <現在>
『たっくんは大きくなったら何になりたいの?』
母親が、ガチャピンとムックの中に人が入っているなんて想像もできなかった頃の、小さな僕に聞いてきたことをふと、思いだしていた。
なんて答えたっけ?
35歳の今の僕には思いだせない。
何故、僕だけ生きているんだ?
2年前のあの日、由香里と一緒に何故この世を去らなかった?
果物ナイフで左足のふとももを刺してみる。
日比谷駅に向かう途中、僕は毎日繰り替えされる単純な歩行動作をしていた。
日比谷駅に着いたら三田線に乗って文庫本を読みながら西巣鴨駅で降りて、コンビニで弁当を買って家へ帰る。
いつしかそんな単純作業にも、なんの感情も感じなくなっていた。
誰もが、自分だけには未来ある。と何の疑問も感じないで、夜明けを迎えるだ……。
果物ナイフが刺さったところを冷静に見つめてた。吹き出した赤い血の鮮やかさと痛みが心地良い。
後、もう少しだけ深く刺せば、動脈に辿り着けそうな気がした。
不思議と楽しい……。
『止めて…。拓也。』
振り返ると、悲しい顔をした、由香里がそこに立っていたんだ。
紛れも無い、由香里だったもんだ……。
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