携帯小説!(PC版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊前史・19

航宙機動部隊前史・19

[438]  まっかつ  2007-11-05投稿
イェスゲイ=ロスバラニコフ氏の示した懸念は、半分は当たっていた。
事実、旧宇宙連盟=現宙際連合の統制を離れた航宙遊牧民族始め、群小の諸国・勢力の中には、その独自性の領域を政治や経済のみではなく、倫理・死生観・更には人類種の在り方にまで押し広げようとする動きがあり、そして現実に実践に及んだケースも、絶対数から言えばかなり出て来ていたのだ。
監視の及ばない場所を利用して、【次世代人類】もしくは【超人類】・【知的宇宙種】が遺伝工学を駆使して産み出されたり、肉体と精神の分離・情報生命体化によるデジタル情報世界内での不老不死化の研究も盛んに行われた。
更に、地球時代末に散々揉めた上ようやく廃止された筈のクローン技術による完全再現や、単性生殖までもが国によって容認されたり、半ば義務化されてしまう事態も現れた。

反面で、社会体制・文化芸術・科学技術等では良くも悪くも多産な時代ではあった。
太陽系体制による支配システムの後退・相対化は、人々の思考や習慣を画一的な規定や様式から少なからず解放し、特にそれは辺境の諸勢力に顕著で、新基軸の体系が次々と打ち出され、後代の宇宙文明に模範や土台を用意したのも確かだ。
だが、弊害も大きかった。

明らかに前近代的・非人道的な慣習や制度が【新しい創造的な文明】として安易に喧伝され、局地的には猛威を奮い、大勢の犠牲を出す事一度ではなかった。
又、この無秩序に便乗し、一般市民を惑わす個人や組織も現れた。
ある者は野心や支配欲から、ある者は虚栄心から、ある団体は宗教的狂信から、ある集団はただライバルを出し抜く為だけに、様々な虚構・暴論・妄想・扇動を駆使して、人々を混乱と迷妄の淵に陥れて、暴利を貪りまくった。
このままでは人類は滅びる―少なく共、これまで二000年に渡って営々と築き上げられて来た宇宙文明は衰退し、拠るべき規範も秩序も失った人類は、半永久的な抗争と分裂に巻き込まれ、知識や情報を受け継ぐ者も無いままに、何か哀れむべき動物の一種にまで退化してしまうだろう―\r
多少誇張気味ではあったが、宙際連合側は深刻な危機感を抱き始めた。

感想

感想はありません。

「 まっかつ 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス