８月 ２５日
連合国ハンサン地区森林地帯。
ここにオーカー色の鉄の巨人達が、姿を隠していた。
「気付かれてはいないな？」
「ええ、今のところレーダーに見つかった気配はありません」
バリスはコクピットに映るモニターの電源を落とし、ハッチを開き身を乗り出した。
「コラン少尉とは連絡がついたか？」
潜入中のコラン少尉とは６時間毎に定時連絡が入ることになっている。
「定時報告の時刻は過ぎているのですが…まだ」
定時報告の時刻から１３分が経った。
コランに限って時間を守らないということはない。
心配に思っていた時、不意に通信が入った。
「―こちらコラン、少佐、応答願います」
ほっと、安堵の息を吐くと通信機を手に取る。
「少尉、こちらバリスだ。何か動きはあったか？」
「いえ特にこれといった動きは見られません。敵の新型の情報はやはりトップシークレットなので何も……起爆装置の設置は完了しました。後は作戦の開始時刻を待つのみです」
どうやらコランの任務は完了したらしい（新型の情報はやはり得られなかったようだが）。
「了解した。作戦開始時刻まで４０分をきっている。少尉は安全圏まで脱出したまえ」
犠牲は少ない方がいい。
「いいえ。私も作戦に参加します。森の中に私のＮ・Ｋが隠してありますから。整備は万全ですから、いつでも動かせます」
「少尉！危険な作戦なのだ。少尉は我々の帰りを待てばいい」
「私もアイアンウルフ小隊の一人です。作戦はアイアンウルフ小隊に出された。ならば私にも参加する義務があります」
こうなっては、どうに言おうとコランは引かないだろう。
「好きにしたまえ…少尉。…………作戦開始の合図を待て」
こうなってしまったのなら誰も欠けないことを祈ろう。
小隊員にも、もう一小隊であるラミオン小隊にも死者は出すまい。
作戦開始時間までは３０分をきっていた。

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