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旅立ち

[214]  ふく  2007-11-05投稿
『私、あの人と東京で暮らす。着いて来て欲しいって言われたんだ。』
『そうか、良かったね。行ってこいよ、幸せになれるよ。』

上手に笑えない
あなたが心から喜んでくれているのが分かるから
悲しくて泣きたくて指先が震える
笑って送り出してくれるあなたの曇りの無い思いを裏切りたくなる

例えばあなたが戸惑いを見せてくれたなら
寂しそうな顔を浮かべてくれたなら
今の迷いが消えて無くなったのに

『あいつなら幸せにしてくれる』とか
『あいつは良いヤツだから』とかどうでもいい
そんなこと分かってる

あなたの言葉一つ一つで
なんだ
そんなもんかと
肩の力が段々抜けていって抜け殻になる

幸せな暮らしも未来もあなたとじゃないなら意味が無い
だけど想われなければもっと意味が無い

『何そんな嫌な顔してんだよ、これから幸せな毎日が待ってるのに。』

愛されて生きていくのは幸せだけど何であなたじゃないんだろう
決めたことなのにこの後ろめたさはあなたが私を簡単に手放すから

今『好き』なんて言えばあなたは怒るだろう
私にじゃなくきっとあなたの親友の彼に罪悪感を感じて悩むんだろう

あなたの気持ちを知ることは無かった

ううん
十分分かった
あなたが私へ向けた想いは『無』に近い
だけど幸せを願ってくれるからこの決意を崩すわけにはいかない

ただもうあなたには会えない
離れて暮らせば今よりも気持ちが遠く離れてしまう
あの人だけを愛していく自信は無い

『本当に行くからね。』
別れ際寂し過ぎて苛々してしまう
『頑張れよ。』
またあなたは笑うから
顔を見たくなくてすぐに背を向けた

手を振るあなたも見ずに歩いた
引き止めて欲しかったのに
追いかけて来て抱きしめて欲しかったのに
行くなって
好きだって
何よりもその言葉を待っていたのに
あなたがすぐ追いつけるようにゆっくり歩いたのに

一人だった
あなたの姿は無くて
本当に別れが来たんだと実感した

少しの期待もあなたへの想いも全部
私の独り歩きだった

私は来月東京へ発つ
あなたを残して愛してくれる人の元へ

『本当に行くから』
そう最後に言った時
あなたの前で思い切り泣けたなら少しは未練が断ち切れたかもしれない

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