彼の恋人
少し寂しかった青海高校に、いつもの活気が戻ってきた。2年生は、東北班と沖縄班に分かれて3泊4日の修学旅行に行っていたのだ。
祥恵と州和は東北に、彩子と亜鶴は沖縄に行ってきたという。
久し振りに11人が集まり、博文の家で、亜鶴達が持ち寄った土産の沖縄ソバと喜多方ラーメンの試食会が開かれた。食器と箸は各自で用意した。
それぞれの食器を座卓に並べる時、彩子は孝政の食器を前に我が目を疑った。小ぶりで花柄模様のお椀だった。
「何!? モーリーってこんな可愛いモノにご飯盛ってるの!」
「男が持っていいじゃないか〜」
孝政の反論を博文が完膚なきまでに打ち砕く。
「そいつ、自分で弁当のおかずを作ってピンクの花柄弁当箱に詰め込んでるぞ」
笑いとどよめきが渦巻く中、試食会が始まった。旅の土産話は程々に、話は思わぬ方向へ流れる。
「モーリーみたいなタイプは恋人としてはどうかと思うけど、結婚相手としては頼りになるンかな?」
「ちょっと、先輩、恋愛を通り越して結婚の話ですか?」
佳純の孝政に対する評価に祥恵は困惑する。
「だって恋愛って相手が好きという感情が優先するから、後先の事は考えづらいもん。それが結婚となると実生活が伴うから、嫌でも我慢しなきゃならない事が多いの」
定時制に籍を置く生徒には家庭を持つ者は少なくない。そういう学習環境に身を置く佳純は、18にして恋愛の幻想と結婚の現実が身に染みている。
「ろくに恋愛した事がないままお見合い結婚した母親って、子供の教育よりは寧ろイケメンスターに萌えるのかな〜?」
「關君、それ言えてる〜。うちの婆ちゃんは70過ぎにもなってアイドルに熱上げるから、父さんが子供の頃は放って置かれたわよ」
一同は臨の父に同情したくなった。
仲間内では珍しく恋の話で盛り上がり、試食会は終わった。後始末を済ませ、裕介達がそれぞれの帰路につく時、博文は縁側で身を横にして自分の恋愛を考える。
振り返る程、今誰が好きなのか分からなくなる。
「名波を好きになったのが初めてで、みくに惚れられてて、高校に入って臨を好きになって……俺は本当は誰が好きなんだろう……」
祥恵と州和は東北に、彩子と亜鶴は沖縄に行ってきたという。
久し振りに11人が集まり、博文の家で、亜鶴達が持ち寄った土産の沖縄ソバと喜多方ラーメンの試食会が開かれた。食器と箸は各自で用意した。
それぞれの食器を座卓に並べる時、彩子は孝政の食器を前に我が目を疑った。小ぶりで花柄模様のお椀だった。
「何!? モーリーってこんな可愛いモノにご飯盛ってるの!」
「男が持っていいじゃないか〜」
孝政の反論を博文が完膚なきまでに打ち砕く。
「そいつ、自分で弁当のおかずを作ってピンクの花柄弁当箱に詰め込んでるぞ」
笑いとどよめきが渦巻く中、試食会が始まった。旅の土産話は程々に、話は思わぬ方向へ流れる。
「モーリーみたいなタイプは恋人としてはどうかと思うけど、結婚相手としては頼りになるンかな?」
「ちょっと、先輩、恋愛を通り越して結婚の話ですか?」
佳純の孝政に対する評価に祥恵は困惑する。
「だって恋愛って相手が好きという感情が優先するから、後先の事は考えづらいもん。それが結婚となると実生活が伴うから、嫌でも我慢しなきゃならない事が多いの」
定時制に籍を置く生徒には家庭を持つ者は少なくない。そういう学習環境に身を置く佳純は、18にして恋愛の幻想と結婚の現実が身に染みている。
「ろくに恋愛した事がないままお見合い結婚した母親って、子供の教育よりは寧ろイケメンスターに萌えるのかな〜?」
「關君、それ言えてる〜。うちの婆ちゃんは70過ぎにもなってアイドルに熱上げるから、父さんが子供の頃は放って置かれたわよ」
一同は臨の父に同情したくなった。
仲間内では珍しく恋の話で盛り上がり、試食会は終わった。後始末を済ませ、裕介達がそれぞれの帰路につく時、博文は縁側で身を横にして自分の恋愛を考える。
振り返る程、今誰が好きなのか分からなくなる。
「名波を好きになったのが初めてで、みくに惚れられてて、高校に入って臨を好きになって……俺は本当は誰が好きなんだろう……」
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