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セイングレンド?

[386]  那門 秦  2007-11-09投稿
ハンサン基地は周囲をぐるりと緑深い森林に囲まれ、町から遠く離れた山に建設された。ハンサン基地から山を二つほど越えればそこはもう、グルーク大公国である。
そんな場所にある基地に、俺はパイロット候補生として配属された。
ハンサン基地での日々は退屈であった。
「いつまでそこにいるんだ」
油の匂いが充満している格納庫で連合国のN・Kを眺めていると、ここに配属になった時から世話になっているベレクに声を掛けられた。ボサボサの黒い髪で整った顔立ちをしていて、あまり作業服が似合わない青年だ。
「お前はパイロット候補生なんだから、ちゃんと訓練しないと駄目だぞ」
ベレクはメカニックだ。あまりガタイはよくないが頼りになる。いつも乗る訓練用のN・Kはベレクが整備をしてくれている。
「つまんねえんだ…訓練はさ。いつも同じことの繰返しだぜ…嫌になるって」
本当にその通りだった。射撃訓練やシュミレーション戦闘、ペイント弾を使った戦闘訓練、基礎体力向上の筋トレなどの繰返しだ。
大公国が近いと言っても戦闘はここまでは来ない。
まだ一度も実戦を経験した事はない。だからと言って戦いたい訳でもない。軍に入隊したのも他に行く当てが無いからだった。
「またダストン大尉に怒られる、ぜ…」
ベレクが軍服の襟を掴んだ。
あれ?ベレクは結構遠くにいたような…。
「アラン…訓練サボんの何回目だ…ああ!そろそろ学習したと思ってたんだけどなあ!」
髪型はオールバック、子供がみたら泣くんじゃないか?そう思わせる顔付きのダストンが、笑顔に怒りマークというなんともミスマッチな顔で後ろに立っていた。
マジですか!?
大尉…さすがに恐いんですけど…。
「さあ…罰がまってるぞお!アラン…いつもよりきつめにしとくからなあ!」
ダストンは有無を言わせない内にアランの襟を引っ張り、引き摺りながら格納庫を出ていった。
「がんばれよお!アラン」
ベレクは、笑いを堪えながら、二人を見送っていた。
この白状ものおぉ!後で覚えてろよお
二人を見送った後静かになった格納庫で、ベレクはまた仕事に戻った。
時刻は12時40分を過ぎたところだった。

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