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野良猫の家?

[345]  unknown soloist.  2007-11-11投稿
ある日、7人で落書きしていると、ハルキが言った。
「サヤ姉、ここは“野良猫の家”なんだよね?」
「えぇ、そうよ。」
「じゃあ、ボクたちが“野良猫”?」
「え?さぁ…そうなのかなぁ?」
「野良猫は家に住んでないよね?ボク、本で読んだもん!」
「そうね…普通、野良猫に家はないわね。」
「じゃあ、ボクたちにも家はいらないよね?」
「まぁ…私たちが“野良猫”なんだとしたらね。」
「野良猫はジユウなんだよね?」
私は突然、ハルキの言いたいことを理解した。
ハルキは、この施設から逃げ出すことを考えているのだ。
「ねぇ、ハルキ。私たち、ここから出るなんて出来ないわよ。」
「どうして?」
「だって…そんなことをしたら、あの科学者たちに殺されるわ。」
科学者たちは、この施設の存在を外部に知られることを恐れていた。
私たちの姿が外部の目に触れるくらいなら、私たちを殺してしまうだろう。
「サヤ姉はジユウになりたくないの?」
「そりゃ、なれたら嬉しいけど…」
「じゃあ、決まりだね!」
「え?決まりって?」
するとハルキは、ある作戦を話し始めた。

誰かが、北側にある出口から脱出を試み、科学者たちを誘き寄せる。
その隙に、残りの者は東・西・南それぞれの出口から逃げる。

何とも単純な作戦だが、これは完全な囮作戦だ。囮になる者は必ず殺されるだろう。
しかし、ハルキの表情は真剣そのものだった。
ハルキは、いつも誰より明るかった。そしてハルキは、ずっと誰よりも自由を求めていたのだ。
そう、野良猫のように。
他の子たちは、何かを決意したような目で、じっと私を見つめていた。
私は迷ったが、決めた。
「うん、やろう。皆で太陽を見に行こう。」
こうして私たちの、自由を得るための命を懸けた脱出作戦が幕を開けた。

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