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レジェンド‐新世紀伝説 5

[433]  朝倉令  2006-03-25投稿
 人徳




「全く、あれには恐れ入るぜ……」


クワを持つ手を休め、大神は隣で汗を浮かべているドラゴン、こと山際晋に話し掛けるともなく、つぶやいていた。


「ビアンカ(白の意味)ですか?  まぁ、森の精霊ですからね」


二人の見やる方向に、大人達と木の切り株を片付ける作業をしていたビアンカ、すなわち白虎の姿が見えていた。

 名前の由来となったガッタビアンカ(白猫)とプリントしてあるTシャツの娘は、一抱えほどの切り株を無造作に素手で引っ込抜いている。





「大神さん達が来てくれて助かりますよ」

額の汗を手の甲で拭いながら、晋は屈託のない笑顔を浮かべる。


  不思議なヤツだな


大神は、数日前に食料を奪い取る目的で晋たちを襲った、暴徒のリーダーである。

食料に事欠き進退きわまった大神達に、快く食料と住居を提供してくれた晋。

「『得ようとする者は与えよ』と言うのが座右の銘なんで」

 自然体で言う山際晋にひかれ、暴徒たちはいつしか彼に協力を申し出ていた。
 滅亡の危機にひんした人類の、新しい国家のもとがここに誕生しようとしていた。





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