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彼の恋人

[127]  高橋晶子  2007-11-12投稿
また日が改まり、博文の机に落書きが書き加えられた。博文が書き足した顔文字を指して、次に加えられた落書きはこうだ。

↑ この顔文字、今の私の心情を一番よく表してるよb(^_-)

しかし、次の日曜日は模試で学校に来なければならない。この落書きが見付かれば、先生に不正行為と見なされるかも知れない。
模試で学校に来る時は落書きを消す事にした。その旨を落書きに伝えておくために。

昼休みになり、孝政と裕介と千聖が揃って博文と臨のクラスに押し掛けてきた。
「ひーろーふーみーくーん♪ お昼ご飯食べよう」
「お前が言うと気色悪い」
「んもー、昨日、学校帰りにメディアパークに寄って、みんなの志望校のサイトをプリントアウトしてきたのに〜。ハイ、博文君、プリント代100円」
メディアパークとは図書館と併設している青海市の情報センターで、青海駅名に立地している。寄り道してまで、自分だけでなく博文達の志望校のサイトをプリントアウトしてくれる孝政は気の利く男だ。
「私立大はセンター試験で選考されるとこに絞って選んだよな。金は掛かっても留学制度が充実してるとこ」
「海外か……。そんな事、全然考えもしなかった。未だに鎖国時代を引きずってるのかなぁ」
留学の話題が絡むと、皆は途端に塞ぎ込む。
「おいおい、濱野谷。自国の学問で世界に遅れをとってる分野は、海外へ飛んで吸収していくモンだぞ!」
「うん、途上国からの留学生って、『自分が母国の未来を背負って立つんだ!』って気概に溢れてるっていうじゃない」
裕介も千聖も、なかなか現実的な事を言うものだ。臨と孝政は、自分の夢を実現させるだけでは終われないと思わざるを得なくなった。

机の落書きは、「中間試験と期末試験の1週間前は禁止」という新たなルールが加えられた。

大型連休が近づく時、博文はふと思う。
「大学に入って、留学して、就職する時、俺は何が出来るんだろう……? 何のために学んで、何のために留学して、何のために仕事をして……」

臨への憧れなんて、もう何処吹く風だった。

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