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彼の恋人

[214]  高橋晶子  2007-11-14投稿
中間試験の1週間前。

「名波のために大学受験を諦めて欲しいの」
母の一言に、みくは大きく打ちのめられた。

「貴方、心理学部を狙っているようだけど、わざわざ大学に通ってまで心理学を学ぶ必要がない道もあるのよ」
「それではどうやって?」
「公務員になって働きながら通信制大学で心理学を学ぶのも、一つの道じゃないかしら?」
みくは「貴方のためを思って」という口実で母にスポイルされてきた。
名波には「子供の人生を尊重する」態度で接するのに、みくには「親の願い」を押し付けてくる。それがワーキングマザーの言動なのか?
父の言い分に耳を傾けると、名波に肩入れした意見が返ってくる。
「みくの学費は僕の蓄えで何とかなってるけど、娘を二人も大学に行かせる訳にはいかないねぇ」
名波が第一志望とする私立大は、学費が高過ぎるのだ。
「奨学金を当てにしてでも『世界に通じる音楽家』という名波の夢に応えてあげたいから、我慢するしかないよ」

結局みくは人形のままなのだ。父に、母に、そして博文に認められるために猛勉強してきたのに、母の一言でなし崩しにされてしまった。
博文への想いは完全に断ち切られた今は、自分が志望する大学で心理学を学ぶという目標が心の支えだったのに……。みくは泣き寝入りするしかなかった。

翌日、みくは「もう母に屈しない」と腹を決めた。
昨晩あれだけ泣き崩れて、見かねた名波と誓い合ったのだ。奨学金を当てにしてでも大学で心理学を学ぶために、猛勉強を続けると……。

もう、博文に振り向いて貰えなくてもいいのだ。

みくと名波の夢の原点はピアノにある。
母の影響で幼稚園児の時に習い始めたピアノは今でも続けている。みくはピアノを弾いていると心が落ち着くが、名波は音楽を仕事にしていくために英語から始めようという。
音楽療法を研究したくて大学の心理学部を狙うみくと、音楽留学のために日本の大学では敢えて理論だけを学ぼうという名波。二人は滅多な事では喧嘩しない姉妹なのだ。

中間試験が終われば、すぐ衣替えだ。

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