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[563]  etc.  2007-11-16投稿
 アナウンスが続けていた情報確認作業であったが、開始20分後位から光のほうが飽き始め、最終的には右耳から左耳状態だった。

 「これいつまで続くのかしら、反対の耳から脳みそがとろけそうよ」

 「どうせたいした頭じゃねぇだろ?」

 笑いながらこちらを見ているのは望であった。

 「馬鹿で悪うございました!」

 「誰も馬鹿なんて言ってねぇじゃんか、御馬鹿さん」

 ぶん殴りたい気持ちを押さえ、また右耳に意識を集中させる。

 『……続いて、体型についての確認をいたします』

 光は嫌な予感がした。

 『身長161cm、体重52kg。 続いてスリーサイズです、上から』

 「駄目ぇ!!中止ぃぃい!!」





 今、光達はマークが用意した車に乗り込んで夜の街を軽快に走っていた。

 辺りには仕事帰りのサラリーマンや、当分離れそうもないカップル達が騒ぎあっている。

 「いつになったら着くの?」

 「望みたいなスピードを出していると日本警察の厄介に成り兼ねないからな」

 「そんなにスピードだしてねぇよ、許容範囲内だ」

 望の顔が歪んでいた。

 「お前のことだからな、法定速度からしてみれば十分許容範囲外だ」

 その通りである。

 「ところで、二人はどんな関係なの? ただの仕事仲間には見えないけど」

 少しの間、沈黙が続く。

 始めに切り出したのは望だった。

 「二年前にある事件で同じチームだった」

 「ある事件って?」

 光は興味深げに後部座席から身を乗り出して、助手席に座っていた望の顔を覗き込む。

 「ある女性の護衛だ」

 「大統領婦人とか?」

 Jは一人、外の風景を眺めていた。

 マークが溜息混じりの声で話し始める。

 「……いいや、マフィアのかしらの妻だった」

 二人の顔色はあからさまに悪い。

 「マフィア? なんで?」

 「あまりその話に持ち込まないでくれないか? 察してやれ」

 怪訝な顔をした望は光を睨み付けた。

 「……ご…ごめん……」

 光にはよくわからなかったが、この男二人にとっては辛く重い記憶らしい。

 車はとある場所を目指してエンジンをふかしていた。

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