ネットな恋(1話)
肌寒くなったある日上杉はいつものネットカフェに立ち寄った。
店内は静まり返り、静かな音楽が流れている。
「いつもの7番席空いてます?」
「えーっと、今日は‥」店員は受付表に目を落とす。
「7番は他の方が使われてますね、でも他はけっこう空いてますからお好きな席へどうぞ」
上杉は仕方なく3番席を選んだ。
ドリンクを手にした上杉は、自分の席へ向かう。
途中、7番席が気になり目を止めた。
頭上が開いた個室風の席は、頭部の先ぐらいしか見えない。でも男か女か見分けるには十分だった。
そこには、きれいな栗色の髪がゆっくりとした動きとともに揺らいでいる。
‥この人良く来るのかな‥
ネットカフェには、あまり似つかわしくない女性っぽい。
上杉は、気になる気持ちを抑えながら、席へと急いだ。
PCの電源を入れ、立ち上がるまでの間上杉は昨日の出来事を思い出した。
‥昨日のミスはいたかったなあ。
何であんな失敗しちゃたんだろう‥
上杉は珍しく仕事でミスをした。大事には至らなかったが、隙のない仕事ぶりに定評のある上杉にとっては、とても悔やまれた。
程なくしてPCが立ち上がると、上杉は最近お気に入りのブログにつないだ。
バラエティーで人気の女性タレントだとか、アキバ系アイドルのブログではない。
普通のOLが描く日記風のブログで、日々の出来事を淡々と書いている。でも、どこか空想的で透明感があり、力強いリアリティに満ちていた。
ブログに一通り目を通すと、たった今、更新されたばかりの日記がふと目に止まった。
“今日、あの人がいつも座る席で日記を書いてます。
いつもとは違い、あの人を近くに感じながら……”
上杉はおもむろに席を立ち上がると、7番席の方向に目を移した。
〜つづく〜
店内は静まり返り、静かな音楽が流れている。
「いつもの7番席空いてます?」
「えーっと、今日は‥」店員は受付表に目を落とす。
「7番は他の方が使われてますね、でも他はけっこう空いてますからお好きな席へどうぞ」
上杉は仕方なく3番席を選んだ。
ドリンクを手にした上杉は、自分の席へ向かう。
途中、7番席が気になり目を止めた。
頭上が開いた個室風の席は、頭部の先ぐらいしか見えない。でも男か女か見分けるには十分だった。
そこには、きれいな栗色の髪がゆっくりとした動きとともに揺らいでいる。
‥この人良く来るのかな‥
ネットカフェには、あまり似つかわしくない女性っぽい。
上杉は、気になる気持ちを抑えながら、席へと急いだ。
PCの電源を入れ、立ち上がるまでの間上杉は昨日の出来事を思い出した。
‥昨日のミスはいたかったなあ。
何であんな失敗しちゃたんだろう‥
上杉は珍しく仕事でミスをした。大事には至らなかったが、隙のない仕事ぶりに定評のある上杉にとっては、とても悔やまれた。
程なくしてPCが立ち上がると、上杉は最近お気に入りのブログにつないだ。
バラエティーで人気の女性タレントだとか、アキバ系アイドルのブログではない。
普通のOLが描く日記風のブログで、日々の出来事を淡々と書いている。でも、どこか空想的で透明感があり、力強いリアリティに満ちていた。
ブログに一通り目を通すと、たった今、更新されたばかりの日記がふと目に止まった。
“今日、あの人がいつも座る席で日記を書いてます。
いつもとは違い、あの人を近くに感じながら……”
上杉はおもむろに席を立ち上がると、7番席の方向に目を移した。
〜つづく〜
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