一陣の風 第一章「夢見る少年と異端の紅い十字架?」
昏倒するアルベルト。
黒煙が視界を潰し始めた。
それとともに、頭の中も絶望の色に塗り潰され始めていた。
「気付いているだろうが、この部屋はすでに俺の爆弾で覆い尽くされている…お前を殺す為に用意した俺のテリトリーだ…」
通信機ごしに聞こえる雑音が、疑問を確信に変える。
「やはり…奴の目的は、始めから僕ら…いやアルベルトだったんだ!」
今更の如く、レイナードは呟いた。
「器物損壊も…通り魔殺人も…警察を返り討ちにしたことさえも…僕ら一陣の風を動かし、今日この場所でアルベルト…君を殺す為の算段だったんだ…」
「…成る程な…俺らはまんまと踊らされてたって、訳だ…」
アルベルトは小さく吐き捨てた。
「よく聞いてくれ…彼の魔術の特性上、そこから無傷で脱出するのは無理だ…」
レイナードは冷たく告げる。
「だが、まだ諦めるのは早い。彼の魔術、設置と爆破までにタイムラグがある。それは彼自身も爆破によるダメージを受けてしまうからだ。だから安全な距離を確保してからしか、爆破しない!」
「…つまり、やつがまだこの部屋にいる間は、大丈夫ってことだなっ!!」
発する言葉と共に身を翻す。
黒煙で何も見えないが、あの男の後ろ姿は、手に取るように捉えられた。
先程自分自身が吹き飛ばされた窓。そこに手をかける様が容易に想像させる。
慣れ親しんだ感覚で己の魔術を発動する。
軽い浮遊感と共に辺りに渦が。それは黒煙を飲み込み少しずつ大きな流れを生む。
この世界を埋め尽くすもの。その流れを生み、集め、束ね、操り、纏う。体術と組み合わせることにより、接近戦最強を誇る攻防一体の技に昇華した。
風の超古代魔術…゛テンペスト゛。
それがアルベルトの使う魔術だ。
部屋を覆う黒い風。その全てを左足に篭めた。
アルベルトが入っていったビルの一室から立ち上る一筋の黒煙。
それを見つめながらキッドは、呆然としていた。
突然の爆発にただ驚くばかりだ。
すると、通信機から、
「…キッド君!キッド君、アルベルトは無事だ!聞こえてるか?キッド君!!」
「…!は、はい!?え…アルベルトさん無事なんですか?」
「そうだよ…だから、あのビルには誰も近付けさせてはいけないっ!!」
その時、立ち上っていた黒煙がビルに吸い込まれるように消えたのを見た。
黒煙が視界を潰し始めた。
それとともに、頭の中も絶望の色に塗り潰され始めていた。
「気付いているだろうが、この部屋はすでに俺の爆弾で覆い尽くされている…お前を殺す為に用意した俺のテリトリーだ…」
通信機ごしに聞こえる雑音が、疑問を確信に変える。
「やはり…奴の目的は、始めから僕ら…いやアルベルトだったんだ!」
今更の如く、レイナードは呟いた。
「器物損壊も…通り魔殺人も…警察を返り討ちにしたことさえも…僕ら一陣の風を動かし、今日この場所でアルベルト…君を殺す為の算段だったんだ…」
「…成る程な…俺らはまんまと踊らされてたって、訳だ…」
アルベルトは小さく吐き捨てた。
「よく聞いてくれ…彼の魔術の特性上、そこから無傷で脱出するのは無理だ…」
レイナードは冷たく告げる。
「だが、まだ諦めるのは早い。彼の魔術、設置と爆破までにタイムラグがある。それは彼自身も爆破によるダメージを受けてしまうからだ。だから安全な距離を確保してからしか、爆破しない!」
「…つまり、やつがまだこの部屋にいる間は、大丈夫ってことだなっ!!」
発する言葉と共に身を翻す。
黒煙で何も見えないが、あの男の後ろ姿は、手に取るように捉えられた。
先程自分自身が吹き飛ばされた窓。そこに手をかける様が容易に想像させる。
慣れ親しんだ感覚で己の魔術を発動する。
軽い浮遊感と共に辺りに渦が。それは黒煙を飲み込み少しずつ大きな流れを生む。
この世界を埋め尽くすもの。その流れを生み、集め、束ね、操り、纏う。体術と組み合わせることにより、接近戦最強を誇る攻防一体の技に昇華した。
風の超古代魔術…゛テンペスト゛。
それがアルベルトの使う魔術だ。
部屋を覆う黒い風。その全てを左足に篭めた。
アルベルトが入っていったビルの一室から立ち上る一筋の黒煙。
それを見つめながらキッドは、呆然としていた。
突然の爆発にただ驚くばかりだ。
すると、通信機から、
「…キッド君!キッド君、アルベルトは無事だ!聞こえてるか?キッド君!!」
「…!は、はい!?え…アルベルトさん無事なんですか?」
「そうだよ…だから、あのビルには誰も近付けさせてはいけないっ!!」
その時、立ち上っていた黒煙がビルに吸い込まれるように消えたのを見た。
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