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君の名残を?

[155]  蒼井 暁  2007-11-18投稿
綻びはじめた蕾が見て取れる桜並木。三年間通った学び舎へ続くこの坂を、僕は今日も独りでのぼる。
隣に人がいないということが、こんなに胸にしみることだとは。独りでのぼる度、僕は葵がいないことの大きさを思い知らされた。
葵はいつだって僕の隣にいた。二年前、僕が二年生の春に葵が研究部に入ってきてから、それはずっと変わらなかった。
僕らは恋人同士であると共にに良き研究仲間であった。葵は年こそ後輩であるものの、彼女の天性の才能と奇抜な発想力にはいつも驚かされていた。
だが数ヶ月前、彼女は失踪した。原因は不明、警察は何の手がかりも得られなかったようだった。
だけど多分、葵が消えた原因を僕は知っている。 僕と葵の最後の共同研究―タイムマシンの試作品に、彼女は乗っていってしまったに違いない。
ただ、そう考えるには問題がある。葵がマシンのキーを置いていったことだ。
時間を移動する時は、自分をその流れから切り離す必要がある。このキーがなければ、未来にいけば年をとり、過去にいけば赤ん坊に戻ってしまう。

 研究室内を見渡す。葵の残像が、名残が、室内のいたるところで僕に笑いかけているように思えた。

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