朱い月?
―大好きな人と
もうすぐお別れです。
「終り」の時
私は笑っていられるかな…。―\r
出会ったのは今年の春。
美咲と崇史はバイト仲間として知り合った。
「よろしくお願いします」
崇史はにこにこと愛想良く美咲に挨拶をした。
美咲もぺこりと挨拶をした。
ある日の帰り道、駅のホームで声をかけられた。
「美咲ちゃん?」
振り返ると崇史が立っていた。
「あれ?崇史くんも同じ方向なの?」
「うん、駅何処なの?」
話してみると、崇史は美咲の最寄駅から三つ先の駅だと分かった。
「一緒に帰って良い?」
崇史の問いに美咲は頷いた。
美咲は悪い気はしなかった。
その日から美咲と崇史は二人で一緒に居る事が多くなった。
美咲は崇史と一緒に居るだけで楽しくて幸せだった。
美咲が『恋』だと気付くには時間はかからなかった。
―『恋』だと気付かなければ、こんな辛い気持ちにならなくて済んだのに―\r
美咲はいつも思っていた。
崇史には美咲と出会う前から恋人が居るのだ。
崇史は美咲にしか話せないからと恋人の事で相談を持ちかける事がしばしばあった。
その度に美咲は一生懸命考えて、崇史の為にと相談に乗っていた。
辛くないわけが無かった。
「彼女と居るより美咲ちゃんと遊んでる方が楽しいんだ(笑)」
「あはは(笑)」
―だったら彼女と別れて私と付き合えば良いじゃない―\r
美咲はただ笑っているしか無かった。
自分の気持ちを伝えて今の関係が壊れてしまう事がただ怖かった。
どんな関係でも良い。
とにかく一緒に居たかった。
サヨナラが近いなんて
美咲はまだ知るよしも無かった。
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