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同一人物

[831]  シノ  2007-11-21投稿
目を覚ました清美は、ベッドから這い出て、ブレザーに着替えた。
そして階段を下り、台所に向かった。ダイニングテーブルには、素っ気無い朝食が並んでいる。いつものことだった。

母親の富子は、清美が起きる前に、すでに仕事に出かけていた。これもいつものことだった。
父親はすでに死んでいる。十年前のある日、小学一年生の清美は、富子から衝撃的な事実を聞いた。
「お父さんは、あと一年しか生きられないのよ」
覚えていることは、この言葉と、ハンカチで目頭を押さえ、泣いていた富子の姿だけだった。
清美は、朝食には手をつけず、目覚めのコーヒーを飲み干し、急いで家を出た。
くだらない授業を聞き終え、清美は家に着いた。疲れているのか、ブレザーのままベッドに横たわり、そのまま眠ってしまった。

気が付けば、近所の公園にいた。
「またここか」
夢の中で、清美は呟いた。少女が一人、ブランコに乗っている。物悲しくうつむきながら力なく揺れているだけだった。
しかしその少女は、紛れもなく幼い頃の清美そのものだった。

今の私がベンチに座り、ブランコに乗っている過去の私を、ただ見ているだけの夢。何度同じ光景を見ただろうか。早く夢から覚めることだけを願いながら、退屈そうに見ていた。


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