携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 晴輝と葵?

晴輝と葵?

[602]  クロバス  2005-10-18投稿
何週間ぶりに葵と一緒に帰った。

しばやく二人は無言で歩いた。

『ねぇ…。』

葵が口を開いた。

『人を慰めた事…ある?』

いきなり言われてびびった。

…あるよ、一回だけ。

『どんな時に言ったの?』

…正確には今から言おうと思う。

『えっ?』

前を歩いていた葵は振り返り、俺の顔を見た。

どおしたんだよ?学校休んだり、引きつった笑顔見せたり、お前らしくねぇよ。

『まさか晴輝に言われるとは。』

続けて葵はこう言った。

『私ね、来週に入ったら引っ越すの、お母さん…死んじゃったから。お父さんのいるイタリアに行くの。』

びっくりした。

いやびっくりするより呆然とした。

なんで?

なんで『今』なの?

行くな!行かないでくれ!

色んな事が頭によぎったけど……口には何も出てこなかった。

『結局…何も言ってくれないんだ…。』

葵は俺の顔を見て、すぐ立ち去ろうとした。

おいッ!

その一声で葵は止まった。

やっぱ…行っちまうのか?

『うん。』

行くなッ!!

気が付いたら俺は葵を抱き締めていた。

『晴輝には関係ないでしょ?他人の事なんか興味ないくせに。』

…違うんだ。

『何が違うのよ。いつも他人と自分との間に境界線を作って入らせないじゃない。』

…とにかく違うんだ。お前は俺の中ではもう他人じゃないんだ。

『それって…どういう事?』

…好きだ。

『えっ?』

…俺はお前が好きだ!誰が何と言おうとも、俺はお前が好きなんだ!誰にも渡したくない。

…ずっと…そばにいてくれよ…。

葵はしばらくうつむいていたが、涙をふいて、笑顔でこう言った。

『その言葉が聞きたかったのかも。伝えてくれてありがとう、もう聞けないかと思った。』

俺は涙が止まらなかった。

『私も…大好きだよ、晴輝。もし…晴輝が私の事をずっと想っててくれるなら、私は必ず帰ってくるから。』

そう言って、葵は俺の手を握った。俺は恐くて何も答えられなかった。

その日を最後に、俺は学校を休み、葵に一回も逢わなかった。そして葵はイタリアへ行ってしまった。

感想

感想はありません。

「 クロバス 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス