花のこころ?
身仕度を終えた美月は、ヒールの音を冬の冷たい空気の中に隠しながら、通勤人に混じって歩いた。当たり前のように、勇直の移り香が残るマフラーが寒さから自分を護ってくれる。考えてみたら、それも可笑しな話だ。断ち切った筈(少なくとも美月はそう自覚していた)の勇直との繋がりを、まだ完全には成し得ていないのだ。
「私って未練がましい?」
くすっと肩をすぼめた。吸い込んだ息と一緒に勇直の匂いが体に入り込む。
身体と心は連動するものだ、と昔友達が言っていたのを思い出した。美月の体を、生温かい血が流れた。
「私って未練がましい?」
くすっと肩をすぼめた。吸い込んだ息と一緒に勇直の匂いが体に入り込む。
身体と心は連動するものだ、と昔友達が言っていたのを思い出した。美月の体を、生温かい血が流れた。
感想
感想はありません。