携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 彼の恋人

彼の恋人

[141]  高橋晶子  2007-11-22投稿
落書き文通が始まって約2ヶ月。
博文の机には、意外な落書きが残されていた。

国公立大クラスだよね?
何処狙ってるの?

普通科5クラス中1〜4組が文系クラスで、5組が理系クラスとなる。文系クラスでも数学選択者は国公立大クラスに組み込まれ、3・4組に振り分けられる。博文と臨は4組、孝政は3組だ。
博文は迷わずこう書き残した。

横浜国立。それも経済学部。

敢えて地元にしなかった。地元の国公立大の方が規模が大きく、多様な出会いが期待できる筈なのに、このまま井の中の蛙に終わってしまうのが怖い。留学を視野に入れている以上、家族も地元に留まるのを許そうとしない。

実は、臨は担任に思わぬ苦言を呈され、気が滅入っている。臨の成績は学年で5本の指に入る。MARCHは充分射程距離でありながら、小学校の教師になるために地元の国立大を狙うという。その事が担任の苦言の種となっているのだ。
「家を離れようと思ってなかったな。先生になるには養成課程に入るしかないと思って頑張ってきたけど、それに拘る必要はないと言われちゃうと、勉強しようとは思わなくなっちゃうな……」
博文はすかさず臨に喝を入れる。
「そういう時に調べものをするのが君のやる事だろ!?」

放課後、臨は博文に言われた通り、養成課程以外で小学校の教員免許を取れる大学を調べ始めた。進路相談室の資料棚の中から気になる大学を絞り込み、青海駅前のメディアパークで大学のサイトをプリントアウトしていった。

翌日――臨の調査の成果に、博文達は言葉が出ない。
プリントアウトされた大学のサイトを両手で握り絞め、臨は嬉々として語る。
「夕べ、お茶女とか奈良女でも小学校の教員免許を取れる事を親に話したら、『じゃあ受けてもいいよ』って父さんが許したのよ〜♪」
地元志向の孝政は、
「そういう選択肢もあるのかー!」
と感心する。
千聖に至っては
「『自立した女』を目指すには最高の環境じゃない!」
と肯定的な意見を唱える。
やはり修学館に入るような女に良妻賢母志向はいない。早慶上智に入れる程の学力があれば、狭い殻の中で安住するのは無意味である。博文達は、良妻賢母に拘る「昭和の男」が大嫌いだ。

博文は臨との距離が遠く感じた。

感想

感想はありません。

「 高橋晶子 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

新着小説作品

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス