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携帯白書 (3)

[350]  梨希  2006-03-27投稿

『別に普通だよ』



「それだけか?」

「それだけだよ。」

「普通は…イヤなのか?」

「普通って、詰らないんだよ?無理矢理私に近付こうとする母親も
 自分に気を使って、私の事を避けている父親も、
 短気な弟も…ヤだよ。」

「それは、お前の気持ちじゃないのか?」その言葉を飲み込んだ。
それはコイツ自身に気付かせるべきなんだと思ったから。
それに、携帯に住む住民を増やす事が自分の使命。
自ら入居希望者を突き飛ばす訳にはいかない。

「なら、行こう。」

そうコスモが言ったとたん、花畑は消え、真っ暗になった。
多分これが本当のこの場所の姿なのだろう。

怖かった。寂しかった。こんな考え方しか出来ない自分が憎かった。

「ごめん、友達。」

言う事はそれだけ、ここからは新しい自分が始まる。

「サヨナラ…」


「行くぞ」

コスモが何やら呟く。すると、携帯の画面の様に
光が満ち溢れだした・・・

〜続〜


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