携帯白書 (3)
『別に普通だよ』
…
「それだけか?」
「それだけだよ。」
「普通は…イヤなのか?」
「普通って、詰らないんだよ?無理矢理私に近付こうとする母親も
自分に気を使って、私の事を避けている父親も、
短気な弟も…ヤだよ。」
「それは、お前の気持ちじゃないのか?」その言葉を飲み込んだ。
それはコイツ自身に気付かせるべきなんだと思ったから。
それに、携帯に住む住民を増やす事が自分の使命。
自ら入居希望者を突き飛ばす訳にはいかない。
「なら、行こう。」
そうコスモが言ったとたん、花畑は消え、真っ暗になった。
多分これが本当のこの場所の姿なのだろう。
怖かった。寂しかった。こんな考え方しか出来ない自分が憎かった。
「ごめん、友達。」
言う事はそれだけ、ここからは新しい自分が始まる。
「サヨナラ…」
「行くぞ」
コスモが何やら呟く。すると、携帯の画面の様に
光が満ち溢れだした・・・
〜続〜
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